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駆逐艦早潮 遠かった陸地 [駆逐艦早潮]

 陸地までの300mがかなり遠かった
ことについて、岡本氏は、早潮がこの
海域に来たのは初めてであるという
事実を上げています。

 未知の海面に、闇夜とは言え、敵の
飛行場の目と鼻の位置、しかも、島の
周囲を珊瑚礁がおおう危険な海に、
任務とは言え、300mまで近づく
冒険を犯すだろうかということでした。

 早潮には250名もの乗員が乗っており、
岡本氏らの任務と同様に、大切な命と
言えます。

 しかも、300mも近づけば、一日千秋の
思いで待ちわびている、陸上の見張りは、
岡本氏らの進入を気づかないわけが
ありませんでした。

 ところが、青ランプは、陸に近づいてから
点火されたようでした。早潮の進入距離が、
かなり遠方で、そのために陸上からは
確認できず、来たことが確認できる
距離まで来てから、点灯したと
思われます。

 戦場にあっては、このような誤差は
いくらでもありがちで、驚くには当たら
ないとしています。しかし、指揮した
岡本氏からすれば、当初の想定と
食い違い、心の動揺をきたしたと
しています。

 作戦を完遂するのであれば、
もうすこし、慎重な配慮が必要
だろうとしています。

 この後、10月3日~10月11まで、
前後3回に渡り、息をつく暇もないほど、
増援作戦に従事し、岡本氏は、その
たびに、揚陸作戦の司令官を
命じられました。

 岡本氏は、合計4回の増援作戦を
指揮し、一回の失敗もなく、無事に
任務を果たすことができています。


紹介書籍:駆逐艦「神風」電探戦記
著者: 「夕雲」及川幸介、「早潮」岡本辰蔵、「神風」雨ノ宮洋之介
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駆逐艦早潮 敵前逃亡 [駆逐艦早潮]

 月明かりの下で、敵機から爆弾を受けた
早潮ですが、敵機も目標を補足できず、
艦はさほどの被害もなく、危機を
脱する事ができました。

 この時、岡本氏は、戦後であれば苦笑を
禁じ得ない場面に出くわしてしまいました。

 敵機の爆弾投下のさなか、カッターの
引き上げをしていた若い兵員の一人が、
任務を放り出して、砲塔の下に
逃げ込んでしまいました。

 一瞬の恐怖のなせるわざと言えますが、
明確な敵前逃亡であり、岡本氏も見逃す
ことはできませんでした。

 岡本氏は、情け容赦なく、兵隊を引きずり
出すと、思いっきりビンタをはりました。
16歳位の若い兵隊でしたが、やむを得ない
戦場の掟でした。岡本氏は、このことを
艦長に報告しています。


 大任を全うした岡本氏は、この作戦に
当たって終始おかしな心理状況にあった
ことに思いを巡らしました。

 岡本氏は、この作戦は、心を痛める
一事であり、作戦中、常に自らの
気持ちに焦りを感じたとして
います。

 こうなった理由は、万一、時間通り
いかなかったら、ガダルカナルに
置き去りになる、あるいは、早潮
とも最後になるという不安に、
終始付きまとわされたからだと
しています。

 そして、作戦についても、解せないことが
ありました。先任将校は、「沖合300mまで
進入する」と言っていましたが、進んでも
陸地が近寄ってこなかったという椿事です。

 300mは、海上では、呼べば返答が
来るくらいの近さであり、このため、
岡本氏は、作戦を聞いた当初は、
高をくくっていたとしています。


紹介書籍:駆逐艦「神風」電探戦記
著者: 「夕雲」及川幸介、「早潮」岡本辰蔵、「神風」雨ノ宮洋之介
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