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駆逐艦神風 電探の原理 [駆逐艦神風]

 ここで、雨ノ宮氏は、電探の原理を
紹介しています。

 最初に発信機から電波(用途により波長は様々)を
発射します。その電波を、八木式指向性アンテナを
通して、ある方向にだけ目掛けて発射します。

 そうすると、発射管から風船を膨らましたような
電波が出ます。この電波を、衝撃波(インパルス)と
言います。

 衝撃波を、等間隔に1秒間発射する電波の
固まりのような状態を作ります。この状態を
ビームと呼び、このビームを敵の方向に
発射すると、自分が発した電波と返ってきた
電波の両映像間に時間的なズレが見られます。

 このズレが距離となり、この仕組を使って、
目標の位置や進行方向、速度がわかると
いうものです。

 雨ノ宮氏は、この当時は、現在使われている
360度回転式の物や、映像がはっきり写しだせる
ものは、予想もつかなかったとしています。

 当時のものは、ブラウン管に映し出されるのは、
幾何学的な蛍光線の線図にすぎず、一台の
電探に10cmほどのブラウン管を複数つなぎ、
電波の微妙な違いを見分けていました。

 電探には、発電機や、電圧を一定に保つ機器、
電波清流調整と増幅する機械、その他付属の
接断機器などがひとかたまりとなっており、
最新兵器と言うより、実験機器とよんだほうが
ピッタリするようなものだったとしています。

 以前からあった、水中探信儀を、空中に向かって
使えるようにしたものということですが、技術の
遅れを取り戻すべく、海軍は必死になっていました。


紹介書籍:駆逐艦「神風」電探戦記
著者: 「夕雲」及川幸介、「早潮」岡本辰蔵、「神風」雨ノ宮洋之介
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駆逐艦神風 電探の課題 [駆逐艦神風]

 電探は、シンガポール陥落時に入手する
以前から、研究開発を進めていましたが、
先を行く連合国側にかなりの水を
開けられており、必死に追いかける
努力をしていました。

 雨ノ宮氏は、神奈川工業学校の出身ですが、
この学校の教員をしていたこともある、文化
勲章受章者の高柳健次郎氏(海軍少将待遇)は、
テレビの前身となるものを発明していました。

 電探に不可欠な指向性アンテナは、八木博士が
考案した八木アンテナです。発明自体は日本人が
しているにもかかわらず応用面で遅れを取っていた
ということになります。

 一番の障害は、真空管を利用しているため、
かさばって持ち運びに不便な上、壊れやすい
という欠点を持っていることでした。

 (この評価は、今日当たり前に使われている
トランジスタや半導体集積回路と比較してという
ことであり、当時はこのようなものはありません
でした)。

 電探は、
①要塞などに使う固定型
②①より少し小型の艦船以外に設置する型
③航行機設置型
④艦設置型
⑤陸戦隊が持つ携行型
⑥トレーラーで牽引する型
と用途に合わせ数種類ありました。

 電探は、機器の小型化も課題でしたが、それよりも、
機能の正確さと堅固さが必要とされました。真空管の
ため、機能の正確さや堅固さに難点があったと
言えます。


紹介書籍:駆逐艦「神風」電探戦記
著者: 「夕雲」及川幸介、「早潮」岡本辰蔵、「神風」雨ノ宮洋之介
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