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駆逐艦早潮 花本少尉の行動 [駆逐艦早潮]

 昨夜の戦闘を考えていた岡本氏は、
掌水雷長の花本少尉のことが思い
出されました。

 岡本氏の足を掴んで、「魚雷の処分を
頼む」という悲壮な一言を思い出すにつけ、
襟を正したいような気持ちになったと
しています。

 岡本氏は、花本少尉を放置したことを
悔やんでいましたが、病室に運ばれた
人達は、退去できず、艦と運命をともに
しています。

 花本少尉は、岡本氏が覚えていたことで、
内火艇に移すことができています。

 花本少尉とは、後部士官室で岡本氏と一緒に
夕食を取り、武運長久を祈って、別れています。
おそらく花本少尉は、その後、戦闘配置の
水雷発射管の左舷側にいたと思われます。

 そこで至近弾を受けて重傷になりました。
責任感の強い花本少尉は、戦況が容易なら
ざることを察知すると、自分の傷を顧みずに、
魚雷の放棄作業を決心しました。

 しかし、魚雷発射管は左を向いていた
ため、這いながら右舷側にまわり、
発射管入口を指向しました。ここで
力尽き、誰か来るのを待っていたと
思われます。

 岡本氏は、ここまで想像でき、勇敢なる
行為だとしています。


 11月25日、白露は、ラバウルに帰還
しました。そこには早潮の姿はありません
でした。

 岡本氏らは、白露の乗員に熱く御礼を言うと、
默したまま艦を降りました。丸腰の早潮乗員は、
武装解除された捕虜のような格好で桟橋に
上がりました。

 岡本氏らは、ラバウルの海軍根拠地隊に
集合しました。ここに、早潮から救助された者が
次々と集まってきました。しかし、花本少尉の
姿はありませんでした。


紹介書籍:駆逐艦「神風」電探戦記
著者: 「夕雲」及川幸介、「早潮」岡本辰蔵、「神風」雨ノ宮洋之介
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駆逐艦早潮 不意打ちの要因 [駆逐艦早潮]

 「歴戦の猛者」の早潮が、不意打ちを
食らった要因の一つに、連戦による
疲れが出ていたことを上げています。

 駆逐艦は、何でも屋として色々な作戦に
引っ張り回されることになるので、疲れは
無視できないとしています。

 次に、気の緩みがあったということです。
ニューギニア方面の戦況は一般には知られて
おらず、ガダルカナルほど深刻で激烈とは
考えられないと、早潮の乗員は受け取って
いた可能性があるとしています。

 ガダルカナルでは、連日、哨戒機が飛び、
魚雷の航跡に追い回され、戦場にいるという
雰囲気がありました。ところが、ニューギニア
への航海は平穏で、戦場という雰囲気が
ありませんでした。

 岡本氏も、上陸は出来るだろうという曖昧な
考えを持っていたことは確かだとしています。
これが、敵襲に対する判断を誤り、見張員の
報告が遅れたことにつながったとしています。

 最大の要因として上げられるのは、ラバウル
出撃当日に幹部以下の乗員定期補充交代が
行われたことでした。11月に交代が行われる
のは通例であり、平時であれば問題ありません
でした。

 しかし、戦闘になると、非常に大きな影響を
きたすことになりました。実際、航海長から
砲術長になった岡本氏の上司は、24時間
しないうちに戦死しています。

 出撃間際に乗艦した部下の機銃手は、
一発も撃たないうちに戦死しています。
補充交代を、作戦後にしていてくれたら、
早潮の艦歴は変わったかも知れない
としています。

 命びろいした下艦していた砲術長は、
ラバウルに帰還した岡本氏らを見舞って
くれました。


紹介書籍:駆逐艦「神風」電探戦記
著者: 「夕雲」及川幸介、「早潮」岡本辰蔵、「神風」雨ノ宮洋之介
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