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駆逐艦神風 敵潜水艦からの攻撃 [駆逐艦神風]

 1945年1月26日、シンガポール向けの
船団護衛に僚艦野風と一緒に出港しました。
出発前に、電探員が3人追加されました。

 之字運動をしながら、鎮海湾に差し
掛かった夜半のこと、敵潜水艦軍の
待ち構える網にかかり、船団の1隻である
讃岐丸が魚雷を受けて沈没し、海防艦の
久米も炎上しました。

 この時、逆探を操作していた部下より、
「この音です」と言って、プワーという
甘ったるい感じの敵電波をキャッチして
報告していました。

 雨ノ宮氏は、当直員に、この音を聞かせ、
今後潜水艦に出会った時に忘れないように
させました。


 暗号長から、「やつらは、まず護衛を
している方から狙ってくる。近頃の海防艦は、
粗製濫造の溶接船なので、一発でカタがつく。」
と話していました(この当時、溶接はまだ
信頼性に難がありました)。

 神風は、爆雷を投下しつつ、海上を旋回
していました。燃え上がる久米が、右に
行ったり左に行ったり、艦の周りを
ぐるぐる回っているように
見えました。

 神風は、讃岐丸に便乗していた第43
震洋隊数名を救助しました。神風は、
こちらの方に時間をかけていました。

 さらに、甲板士官が、「よし。
思いっきり突っ放せ。」という命令を
していました。

 見ると、救命具付きの水死体が、神風の
スクリューに絡みこまないように、突き放し
作業をしているようでした。水死体は、
突き放しても、スクリューに引き寄せ
られるように、流れ寄ってきました。


紹介書籍:駆逐艦「神風」電探戦記
著者: 「夕雲」及川幸介、「早潮」岡本辰蔵、「神風」雨ノ宮洋之介
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駆逐艦神風 酔っ払い [駆逐艦神風]

 夜襲訓練の翌日、旗甲板を降りると、
洗面に集まった見張員たちから、
「電探長。人気上げたぜ。やるじゃないか。」
と声をかけられました。

 しかし、雨ノ宮氏は別に反応しません
でした。機械のやることなので当たり前と、
考えていたからでした。むしろ、昨日の
ように調子がいい日が続けばよいがと
考えていました。

 この日、大和から、副電測士の若い
中尉がきました。神風の電測を見て
もらうということでした。

 この中尉が、神風の22号電探を
いじくり回している内に、神風は
訓練出撃のため出港しました。

 天候も良くなく、駆逐艦の動揺は、
大和の比ではないため、この中尉は、
酔っ払ってしまいました。あげく、
その場に吐き出していました。

 介添していた雨ノ宮氏は、
「しっかりしろ」と背中をぶち
のめしました。

 兵器のある部屋に、ヘドをはかれては
たまらないという思いでしたが、相手の方が
階級は上なので、強く出られませんでした。

 後になって、暗号長のこのことを話すと、
大笑いされ、「俺を呼べば、代わりにぶん
殴ってやったのに」と言われました。

(追記)
 この当時、大和には、13号(航空用)2機、
21号(航空用)2機、22号(水上葉)の電探を
装備しており、電探においても、超弩級戦艦
らしい充実した威容を誇っていました。

 実際、夜襲訓練の際、雨ノ宮氏は、電探で
矢矧のことをとらえていた時、大和の電波を
受信していました。大和の方が、先に
神風を発見していたようでした。


紹介書籍:駆逐艦「神風」電探戦記
著者: 「夕雲」及川幸介、「早潮」岡本辰蔵、「神風」雨ノ宮洋之介
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