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駆逐艦早潮 駆逐艦白露に到着 [駆逐艦早潮]

 救助された岡本氏ですが、近くに円材に
つかまって泳いできた信号科の下士官と
他2名がいました。

 収容不可となっており、ここまで泳いで
きたものが水の泡となりました。ここで、
一計を案じ、円材を曳航することになり、
これは成功しました。

 岡本氏にしても、掌機長が一緒になった時は、
困ったことになったと思いましたが、この人と
一緒だったので、無理が通って、助かったと
しています。

 一人だったら、艇長の指示に沿って、乗らな
かっただろうとしています。そして、これで
救助作業は打ち切りとなったため、この後は、
救助艇は1隻もきませんでした。

 運命の岐路とは、こんな事いうのだと
感じたとしています。

 岡本氏が腰を下ろした救助艇の艇尾には、
真っ裸の兵隊が全身やけどして、悶え苦しんで
いました。救助艇が白露についた時、曳航
していた丸太はなくなっており、3人の姿が
ありませんでした。

 岡本氏は、白露の甲板に上がり、後部士官室に
向かうと、濡れた服のまま、身体を投げ出すように
して、甲板に倒れ込みました。しかし、甲板の下は、
推進機があり、ゴロゴロガラガラと言う音が、耳に
響いてきました。

 普段は気になりませんが、直接甲板に伏せて
いると、神経にさわり、なんとも言えない不快感が、
ありました。同時に、岡本氏は、恐怖が湧き、
物音に対して怯えるようになっていました。

 白露は、まだ対空戦闘の途中であり、被爆を
避けるべく、急角度の変針を行っていました。
この時に、転げ落ちる金属製の洗濯桶が
落ちる音にも、怯えるようになったと
しています。


紹介書籍:駆逐艦「神風」電探戦記
著者: 「夕雲」及川幸介、「早潮」岡本辰蔵、「神風」雨ノ宮洋之介
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駆逐艦早潮 救助 [駆逐艦早潮]

 軍歌の合唱は、しばらくするとやみ、
それから幾時間が経過しました。

 岡本氏は、この時は時間の感覚も
なくなり、実際はそう長い時間では
なかったのではないかとしています。

 前方で、内火艇のエンジン音が
聞こえました。オヤ?と思って、顔を
起こしましたが、敵機の爆音で、
判然としませんでした。

 しかし、周囲を見ると、僚艦から
繰り出された内火艇が、救助作業を
しているのがわかりました。

 岡本氏は、勇気百倍となり、救助艇に
向かって必死に泳ぎました。しかし、
救助艇に着くと、すでに満員で、
艇長が、「もう乗艇は駄目だ。
危険だ。」と怒鳴っていました。

 しかし、必死にしがみつき、手を離す
どころの騒ぎではありませんでした。
岡本氏も、軍人であり、このような無様な
真似はしたくないと思いましたが、
横にいる負傷者である掌機長
だけでも助けてもらいたいと
思いました。

 大声で、「掌機長だけでも助けてくれ。
たのむ。」と言って、内火艇の後尾に
無理やり乗せました。吃水が深かった
ので、簡単に乗せられました。

 そのはずみで、岡本氏も乗艇し、ここで、
救助は打ち切りとなりました。(岡本氏は、
はずみということを強調していますが、
罪悪感があったからだと言えます。
この状況なら仕方なしと言えます。)

 岡本氏が乗り込んだ内火艇は、
駆逐艦白露のものでした。この
内火艇は、海面スレスレまで
沈んでおり、少しでも動揺すると、
浸水する危険なものでした。

 救助を打ち切ったのは、当然の
処置と言えます。


紹介書籍:駆逐艦「神風」電探戦記
著者: 「夕雲」及川幸介、「早潮」岡本辰蔵、「神風」雨ノ宮洋之介
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