SSブログ

駆逐艦神風 極超短波用逆探 [駆逐艦神風]

 神風改造時に、電探そのものも増設が
なされました。

 それは、アルミ製のナベブタ式アンテナをもつ、
極超短波用逆探でした。艦橋上のキャンバス
天蓋上に、1名の電探兵が座って、手動で
旋回させる簡易型のものですが、敵の
電波を小気味よくとらえました。


 1945年5月15日、「敵機動部隊(巡洋艦2隻、
駆逐艦2隻)が、サバン島南東に向け、速力16ノット。」
の報告が届きました。巡洋艦羽黒と神風は、
迎撃のために、直ちに18ノットで、これに
迫りました。

 合戦準備で、全員手拭止血棒を腰にぶらさげ、
艦対艦の決戦と期するところあって、いっそう
緊迫した空気に包まれました。甲板の血糊に
よる滑り止めの砂なども十分用意されました。

 神風水雷長の鈴木中尉が、この当時のことを
記述しています。

 羽黒と、神風は、18ノットで敵艦隊のいる
海域へと急ぎました。しかし、敵はすでに
反転した後でした。そこで、羽黒と神風は
待機することにしました。

 海面は比較的穏やかで、時折スコールが
あり、視界は8000mでした。潜水艦に備える
ために之字運動を繰り返し、電探は使わず
逆探のみ使用して、怪しい電波とらえました。

 5月16日2時すぎ、羽黒が突然面舵を
とって増速し、すぐに取舵をとりました。
異常を感じて海面に目を向けると、羽黒に
向けて発射され、外された魚雷が、神風に
突進していました。

 神風も、舷側スレスレでうまくかわしました。
その後、「総員配置」の命令が下りました。
しかし、この命令は仇となってしまいました。


紹介書籍:駆逐艦「神風」電探戦記
著者: 「夕雲」及川幸介、「早潮」岡本辰蔵、「神風」雨ノ宮洋之介
nice!(0)  コメント(0) 

駆逐艦神風 電探不調時の調整 [駆逐艦神風]

 神風の電探を使い慣れてくると、感度は
常に良好で、敵の潜望鏡はもちろん、本来
感知しないはずの、島影にあったジャンクと
なっている木造船まで敏感に像を現しました。

 こうしてジャンクを何度もキャッチし報告すると、
今のはジャンクだという返答が艦橋から来ました。
ジャンク船といえども、臨検すれば、無線機を
備えたスパイ船だった可能性はありました。

 電探が不調な時は、接触不良という時が最も多く、
これに一番泣かされました。平野上等水兵は、
この接触不良の調整がうまく、「おい、頼むぜ。
またっく。」と、笑いながら、機械の横腹を
平手で軽く叩いていました。

 叩いて調整するという方法を、平野上等水兵は、
通信学校の教官から教わったということですが、
この瞬間は、映像が動いて、雑音の状態も最高調
となり、感度最良の電波干渉度を見せたりしました。

 雑音は、本来邪魔なものですが、この当時の電探は、
ブラウン管に雑音がたくさん出ると、状態が良いことを
示していました。それは、この雑音は、接触や半田付け部
から出ているので、接触が良ければ出てくるということでした。

 この頃、神風は大規模な改造がなされました。それは、
魚雷発射管を外して空いた場所に、対空機銃を取り付ける
というもので、これにより歩くスペースもろくになくなり、
艦外から見ると、ハリネズミのようになりました。

 この時に、電探員も数名増えましたが、メインは
機銃要員なので、対空戦当時は、機銃係を命じられ
ました。


紹介書籍:駆逐艦「神風」電探戦記
著者: 「夕雲」及川幸介、「早潮」岡本辰蔵、「神風」雨ノ宮洋之介
nice!(0)  コメント(0) 

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。