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赤城・加賀 三段式飛行甲板の理想と現実 [航空母艦「赤城」「加賀」]

 着艦機を停止させる縦索式着艦制動装置は、 停止するまでの距離が長くなるという欠点の他に、 飛行機が転覆したり、回転したり、飛行甲板から 転落するという不安定な装置でした。  一番長い飛行甲板を、着艦用に使用しているのは、 これが理由でした。赤城が完成した時の航空機は、 木金骨組み羽布張りの軽量構造だったので、 向かい風が10mもあれば、離艦することが できました。  赤城が全速で航行すれば、無風でも16.5mの 向かい風となるので、二段目の短い飛行甲板でも 離艦できました。魚雷を積んだ攻撃機は、三段目の 飛行甲板で、離艦可能であることは、計算でも、 テスト飛行でも証明されていました。  しかし、設計思想と現実には大きな差が ありました。まず、二段目の甲板の両脇に 20cm主砲が装備されることになりました。  間隔は、12.5mなので、幅8.5mの飛行機は 通れると判断していましたが、これは、航空機を 知らない人間の発想でした。  滑走中に左右にブレる可能性は大いにあり、 ちょっとずれたら主砲に激突するというのは、 無謀な試みだと言えました。実際、完成後に 試験航行したところ、二段目に飛行甲板は、 乱流が発生し、使うことは危険だと判断 されました。 (追記)  この当時の戦闘機の重量は、1.28tで、 後の零戦の2.4tの半分しかありません でした。また、攻撃機も、全装備で2.9t しかなく、後の97式艦上攻撃機の3.8t よりだいぶ軽くなっていました。  短い飛行甲板でも問題ないのはこのような 事情があったからでした。 紹介書籍:航空母艦「赤城」「加賀」 著者: 大内 健二
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赤城・加賀 三段式飛行甲板 [航空母艦「赤城」「加賀」]

 赤城と加賀の三段式飛行甲板は、一番長い 最上段の飛行甲板を着艦用に、二段目の最も 短い飛行甲板を戦闘機発艦用に、二段目より やや長い最下段の飛行甲板を、攻撃機発艦用に、 予定していました。  赤城の改造には、すでに完成していた イギリスのフユーリアスを参考にしています。 フユーリアスは、二段式飛行甲板で、最上段が 最も長く、着艦用として設計されており、 二段目の艦首飛行甲板は、艦上戦闘機や、 攻撃機の発艦用でした。  赤城は、フユーリアスより大型だったので、 戦闘能力を高めるために、三段式としました。 多段式にしたのは、いくつか理由があり、一つが、 素早い航空作戦が展開できるようにするため、 着艦と発艦を同時行えるようにするということでした。  二段目と三段目の飛行甲板の後方は、格納と なっており、整備された航空機を、格納庫内から 滑走させて、そのまま発艦するという考えが ありました。  もう一つが、着艦する飛行機を確実に短距離で 停止させる手法が開発されていなかったから でした。実際、空母の運用に当たって、最たる 課題が、短い飛行甲板に着艦した飛行機の 行き足を、いかに早くしかも短距離で止めるか というものでした。  当時実用化されていた着艦制動装置は、 縦索式着艦制動装置というもので、日本も アメリカもイギリスもこの方式を採用して いましたが、実用的には危険性が高く、 多くの問題をかかえていました  一つが、この着艦制動方式は、飛行機の 停止位置までの距離が長く、距離も一定しない というものでした。 紹介書籍:航空母艦「赤城」「加賀」 著者: 大内 健二
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