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山口多聞 今後の展開 [山口多聞]

 山口少将は、敵飛行艇に見つかった時、
腕時計を確認し、ミッドウェー攻撃隊が
島に差し掛かるころだと判断しました。
しかし、まだ、友永隊からの連絡は
ありませんでした。

 洋上飛行艇から通報を受けたミッドウェー
基地では、間髪をいれずに全航空機を発進
させていると予想されました。空中戦なら、
こちらに分があるものの、一部の攻撃機は
機動部隊に向けて飛んでくることが
予想されました。

 山口少将は、ミッドウェー基地からの
航空機であれば、数も知れているのでどうって
事はないと考えていました。作戦の成否は、
敵機動部隊の動きでした。

 敵機動部隊が、ハワイを出撃していれば、
哨戒機からの報告でこちらの存在を把握
したはずでした。

 そうなれば、機動部隊同士の決戦となり
ました。今のところ、敵機動部隊発見の
報告はありませんでしたが、見落として
いたら、一大事となります。

 山口少将は、ミッドウェー島への奇襲には
ならなかったと改めて考え、洋上を見渡し
ました。

 東方にはミッドウェー島があり、彼方には、
ハワイ諸島がありました。ハワイ攻撃のときとは
違い、もうすぐミッドウェー島の航空機が頭上に
来ると予想されました。

 山口少将は、それだけで済めばよいがと
思いましたが、そうなりそうもなく、長い一日に
なりそうだと独りごちました。


 一方、攻撃隊の指揮官に抜擢された友永
大尉は、発艦直前にきつく手を握ってくれた
山口少将の顔を脳裏に浮かべ、司令官のため
にも、絶対成功してみせると、決意していました。


紹介書籍:山口多聞 空母「飛龍」と運命を共にした不屈の名指揮官
著者:松田 十刻(まつだ じゅっこく)
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山口多聞 敵飛行艇発見 [山口多聞]

 ミッドウェー攻略作戦は、真珠湾攻撃とは
似て非なる作戦でした。

 島を壊滅させた後、ハワイ作戦にはなかった
陸海軍共同の上陸作戦が予定されました。
夜が明け、今まで濃霧に悩まされていたのが
嘘のような好天でした。

 山口少将は、羅針艦橋艦甲板に降りました。
羅針甲板には、180度にわたり、四角い窓が
張り巡らされていました。背部には、ベランダの
ような発着艦指揮所がありました。羅針甲板は
空母の目に当たる場所でした。

 ここにいたのは山口少将のほかに、艦長や
幕僚もいました。時間のみ刻々と過ぎていき、
艦首が弾く波飛沫の音以外は、不気味なほど、
静かでした。

 攻撃隊発艦から1時間経った午前2時半、
艦内では、戦闘食の配食が始まりました。
ところがそれもつかの間で、2分後には
対空戦闘のラッパが鳴り響きました。

 各部署の拡声器からも、「総員配置、
対空戦闘。」の命令が伝えられました。

 「左前方、敵哨戒飛行艇らしき機影あり。」と
いう対空見張員の報告を受け、防空指揮所や
羅針艦橋の要所にすえられた双眼望遠鏡が
向けられました。双眼鏡は、視界が良ければ、
数10km先の飛行物体を識別できました。

 飛行艇の翼は胴体の上にあり、双発のプロペラが
コックピットの上で両眼のように回っていました。
その特徴的な姿から、コンリデーテッドPBYカタリナと
分かりました。25分後には、別の飛行艇も発見されました。

 飛行艇は、射程外におり、巡洋艦や駆逐艦からは
発砲できませんでした。飛龍から、慌しく零戦が
飛び立ちました。


紹介書籍:山口多聞 空母「飛龍」と運命を共にした不屈の名指揮官
著者:松田 十刻(まつだ じゅっこく)
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