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山口多聞 雷撃機からの攻撃 [山口多聞]

 雷撃機は、空母ホーネットから発艦して
いたものでした。上空警戒のためについていた
零戦と、空母から飛び立った零戦が、互いに
連携をとりながら、敵雷撃機に狙いを定め、
至近距離から攻撃しました。

 零戦から逃れた雷撃機は、空母の外周で
警護していた巡洋艦や駆逐艦が、一斉射撃
していました。15機の雷撃機は、全て撃ち
落されました。

 午前6時45分、雷撃隊14機が、三郡に
分かれて来襲してきました。エンター
プライズから飛び立った雷撃機でした。

 巡洋艦、駆逐艦、空母から猛烈な対空
砲火が浴びせられました。それでも、
雷撃機は空母目掛けて突っ込んで
きました。

 山口少将は、「敵ながら天晴れ。」とつぶやく
ように言いました。周りの幕僚も同様にうなずき
ました。空は黒く濁り、敵の雷撃機は、中空で
爆発したり、炎上しながら、海面に突っ込みました。

 零戦は、次々とやってくる雷撃機を撃ち落して
いましたが、弾薬はたちまち底をつき、敵機が
多すぎて、取り逃がす機体も多くなってきました。

 対空砲火をかいくぐり、3機の雷撃機が
飛龍に迫ってきました。そしてほぼ同時に
雷撃してきました。魚雷は、飛龍の前方に
向かっていきました。

 加来艦長の、「面舵一杯」という叫び声が
響きました。全力疾走していた飛龍が、右に
回りました。

(追記)
 雷撃する時は、1km先から魚雷を投下
するので、その距離を進むうちに、艦艇は
移動しています。

 そのため、あらかじめ狙った艦船の
速度や距離、方角を頭に入れて、魚雷が
艦艇に命中する一に目掛けて攻撃する
必要があります。


紹介書籍:山口多聞 空母「飛龍」と運命を共にした不屈の名指揮官
著者:松田 十刻(まつだ じゅっこく)
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山口多聞 敵機動部隊の艦載機 [山口多聞]

 山口少将は、ミッドウェー攻撃に対して、
戦果をあげられなかった友永大尉に対して、
もうじき敵機動部隊と決戦するので、しっかり
頼むと鼓舞しました。

 罵倒されると思っていた友永大尉は、
新しい決意を目線に浮かべて、顔を
上げました。

 友永大尉が艦橋を降りて行くと、「敵機
来襲。右100。」という見張員からの報告が
きました。飛龍には、防空指揮所や発艦
指揮所のほかに、羅針甲板の前に窓があり、
見張所が設けられていました。

 時刻は、午前6時25分でした。赤城
攻撃隊の最後の一機を格納した直後
でした。山口少将は、報告のあった方角を
双眼鏡で覗きました。駆逐艦が黒煙を揚げ、
煙幕をはり、対空砲火を始めていました。

 敵機編隊は、水平線上を飛んできていました。
編隊は、3機ずつ5組の雷撃機でした。
ミッドウェー基地からの攻撃隊はほとんどが
帰投しているはずですので、敵空母から
発艦したものであると考えられました。

 山口少将は、敵機動部隊に先を越された
ことで、唸り声を上げました。

(追記)
 この時飛んできた雷撃機は、ダグラスTBD
デバステーターで、アメリカ海軍最初の金属製
低翼の単葉機でした。主脚は引き込み式で、
飛んでいるときでも、車輪が半分飛び出して
いました。

 速度は332kmで、真珠湾攻撃の時にハワイに
配備されていましたが、時代遅れの機体となって
いました。ミッドウェー海戦を最後に、前線から
退いています。


紹介書籍:山口多聞 空母「飛龍」と運命を共にした不屈の名指揮官
著者:松田 十刻(まつだ じゅっこく)
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