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山口多聞 第三次攻撃隊の準備 [山口多聞]

 飛龍の司令部では、2隻の空母に甚大な
被害を与えたと思っていました。しかし、
実際は、第一次及び、第二次攻撃隊が
攻撃した空母は、どちらもヨークタウン
でした。

 ヨークタウンは、第一次攻撃で被弾した後、
近代的な消火設備で、火災を消し止め、飛行
甲板の穴を応急修理で塞ぎ、艦上機を飛ばせる
までに復旧していました。

 橋本大尉らが、上空から見たときに、無傷の
空母と勘違いしたのは無理ありませんでした。
ヨークタウンは、総員退去の後、駆潜艇に曳航
されて、ハワイに向かっていましたが、伊168の
攻撃を受け、太平洋に没しました。

 飛龍司令部は、協議の上、第三次攻撃隊を発進
させることにしました。攻撃隊は、艦上爆撃機5機、
艦上攻撃機5機、零戦6機の16機でした。これ
以外には、上空警戒の零戦と、二式艦上偵察機
のみでした。これらの艦上機は、南雲機動部隊の
残映でした。

 空母2隻を戦闘不能に追い込んだと考えていた
山口少将は、1対1になったと思っており、敵空母に
どれだけの航空機がいようと、最悪でも刺し違える
つもりでいました。

 第三次攻撃隊の隊長は、橋本大尉以外いません
でした。優秀なベテラン搭乗員の多くは、戦死して
いました。橋本大尉は、搭乗員割りを行い、士官
搭乗員待機室に入り、仮眠をとりました。

 山口少将は、多くの将兵を殺してしまったと思い
ました。司令部に強く意見具申し、軍法会議覚悟で、
機動部隊に攻撃を仕掛けるべきだったと思いましたが、
後の祭りでした。これも天命とあきらめるしか、
ありませんでした。


紹介書籍:山口多聞 空母「飛龍」と運命を共にした不屈の名指揮官
著者:松田 十刻(まつだ じゅっこく)
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山口多聞 第二次攻撃隊、飛龍に帰還 [山口多聞]

 橋本大尉は、友永大尉の機体を探しましたが、
見つかりませんでした。その時、空母で、褐色の
煙が噴きあがりました。橋本大尉は、
「よもや・・・」と嫌な予感がしました。

 橋本大尉の中隊は、被弾はしていましたが、
撃墜されずに集合地点に戻ってきていました。
このまま待機していたら、敵の戦闘機にやられる
ことになるので、帰投を命じました。

 橋本大尉がふと自分の服を見ると、両脇に
穴が空いており、ワイシャツまで焦げて
いました。午後零時30分、橋本大尉の
中隊が飛龍に帰還し、10分で収容が
終わりました。

 最後尾の機体に乗っていた搭乗員が、負傷した
足を引きずりながら、橋本大尉のところにやって
きました。この搭乗員は、友永大尉の機体が、
魚雷を抱えたまま火を噴き、なおも突進して
いくのを見たとしています。

 この搭乗員は、この後、グラマンを戦闘をして、
撃退後に友永大尉の機体を探したが、機影は
なく自爆と思われる褐色の煙が空母にあがるのを
見ており、体当たりしたものと思われるとしています。

 第二次攻撃で帰還できたのは、艦上攻撃機5機と
零戦3機で、半数に当たる残り8機は帰ってきません
でした。この中には、零戦隊長の森茂大尉も含まれて
いました。

 橋本大尉は、艦橋に上がって、山口少将や、加来
艦長に戦況を報告しました。報告を受けた山口少将は、
南雲長官や、幕僚が移乗した軽巡洋艦長良に、
「エンタープライズ型1隻を雷撃。魚雷二本命中
確認。」と送っています。

 飛龍が第二次攻撃隊を収容した5分後、
エンタープライズとホーネットから攻撃隊が
発進していました。


紹介書籍:山口多聞 空母「飛龍」と運命を共にした不屈の名指揮官
著者:松田 十刻(まつだ じゅっこく)
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