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山口多聞 乾坤一擲 [山口多聞]

 蒼龍から発艦していた二式艦上偵察機は、
母艦の蒼龍に戻れないので、飛龍に着艦
しました。

 搭乗員は電信機が故障していたことを告げ、
利根4号機が発見した以外に、2隻の空母が
いることを報告しています。

 二式艦上偵察機は、燃料を積むと、再び
索敵のために飛び立っていきました。この
報告を聞いた、山口少将は、「1隻は小林
大尉の攻撃隊がやっつけてくれた。残るは、
2隻か。」と判断しました。

 そして、残された艦上攻撃機と、零戦を
別の空母にぶつけることにしました。山口
少将は、第二次攻撃で、もう一隻をつぶし、
第三次攻撃で、最後の1隻に攻撃を加える。
相手と刺し違えるまで闘う覚悟を決めました。

 飛龍の甲板には、艦上攻撃機10機と、
零戦6機がいました。このうち攻撃機の1機は、
赤城のもので、零戦2機は、加賀のものでした。
ミッドウェー海戦前は、4空母で261機保有
していたものが、今はこれだけしか、発艦
できない状態でした。

 山口少将は、今ある戦力でどう戦うかだと、
現実を直視して割り切ることにしました。艦橋に、
第二次機動部隊攻撃隊の指揮官3人が
集まってきました。全て、ミッドウェー攻撃に
参加いていた搭乗員でした。

 山口少将は、この3人の内、何人が帰還して
くるだろうかと考えました。それでも、「ミッドウェー
攻撃後で、疲労困憊していると思うが、乾坤一擲の
精神で、無傷の空母をやっつけてきて欲しい。」と
いいました。

 その後、3人の航空指揮官は、山口少将と、
加来艦長と握手しました。山口少将は、
一人一人の右手を、いとおしむように
強く握り締めました。


紹介書籍:山口多聞 空母「飛龍」と運命を共にした不屈の名指揮官
著者:松田 十刻(まつだ じゅっこく)
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山口多聞 ヨークタウン被弾 [山口多聞]

 グラマンを振り切って、急降下した艦上
爆撃機は、空母や護衛の駆逐艦から、
猛烈な対空砲火を浴びました。

 急降下爆撃は、一直線に突っ込んでくるので、
機銃に狙われやすい攻撃でした。1機が翼を
やられて錐揉みとなって墜ち、1機がエンジンに
被弾して、黒煙を吐いて海に激突しました。

 小林大尉は、真珠湾攻撃や、セイロン島沖
海戦にも出撃している歴戦の勇士であり、空母
ハーミスを撃沈したのは、小林大尉の爆撃隊で
した。

 今回の攻撃で、小林大尉らは、戦死は
覚悟の上でした。射爆照準器の中に、
空母がくっきりと見えました。甲板上の
ラインが、光っていました。

 小林大尉は爆弾を投下しました。命中した
ことを確信し、操縦桿を引きました。空母の
上空を通り過ぎた時、爆風に煽られました。
やったと思った直後、激しい破裂音が機体の
中で弾け、全身に激痛が走りました。

 機体とともに、身体もずたずたになった感覚
でした。足元から焔が噴きあがりました。小林
大尉は乗った指揮官機は、火を噴き、海面に
墜ちました。

 急降下爆撃隊は、空母に250kg爆弾5発と、
陸用爆弾一発を命中させました(アメリカ軍の
記録では、3発となっています)。

 一方で、小林大尉の攻撃隊も、隊長機含む
13機が、零戦4機が、撃墜され、払った代償は
大きいものでした。

 「敵大型空母、命中弾により大火災・・・」という
攻撃隊からの打電を傍受しました。飛龍の
司令部は、炎上した空母をエンタープライズと
思っていましたは、実際はヨークタウンでした。


紹介書籍:山口多聞 空母「飛龍」と運命を共にした不屈の名指揮官
著者:松田 十刻(まつだ じゅっこく)
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