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山口多聞 爆撃機来襲 [山口多聞]

 飛龍と蒼龍の兵装転換は終わっており、
いつでも発艦出来るようになっていましたが、
赤城と加賀は、魚雷転換にとまどっていると
思われました。

 午前7時15分、雷撃機13機の編隊と
戦闘機6機が、各空母に攻撃を仕掛けて
きました。

 飛龍にも、雷撃機が3機、迫ってきました。
上空から飛来した零戦が後ろについて
攻撃を加え、射点につく前に火達磨に
しました。

 零戦は、戦闘機のグラマンF4Fワイルド
キャットとも空中戦を仕掛けました。この時、
上空を警戒していた零戦のほとんどが降下
していき、高度1000m付近がぽっかり
空いてしまいました。

 午前7時20分、赤城より、「第二次攻撃隊。
準備出来次第発艦せよ。」との信号命令が
下されました。山口少将は、加来艦長を
見据えると、「やっときたか」とうなずきました。

 加来艦長は、最大戦速と声を張り上げました。
飛龍は風上に向けて、速度を上げました。

 しかし、この時こそが、ミッドウェー海戦における
敗戦の直前であり、日米戦争の分岐点となった
時刻でした。

 上空警戒が空いてしまったところに、敵の
爆撃機が飛び込んできていました。飛龍の
見張り員が、この爆撃機に気付き、甲高い
声で伝えてきました。

 爆撃機は、加賀に向かっていることが分かった
山口少将は、加賀に知らせるように怒鳴りました。
しかし、山口少将は、これででやられたと思いました。

 上空を見ると、いつの間にか、急降下爆撃機が、
50機前後、飛来してきていました。いずれも、
ダグラス、SBDドーントレスでした。


紹介書籍:山口多聞 空母「飛龍」と運命を共にした不屈の名指揮官
著者:松田 十刻(まつだ じゅっこく)
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山口多聞 飛龍への魚雷攻撃 [山口多聞]

 魚雷が発射された方角と垂直になるように
回避すると、三本の魚雷は、白い航跡を残して、
艦首前方から左舷側へと通り過ぎていきました。
あのまま、まっすぐに進んでいれば、土手ッ腹に
食らっていたかもしれませんでした。

 上空から飛来した零戦が、低速で飛ぶ雷撃機に、
20mm機銃を浴びせました。一機が海面スレスレの
ところで大爆発し、海が燃え上がりました。さらに3機が
降下してきて、魚雷を発射しました。

 「取り舵一杯」という加来艦長の声もかすれて
いました。飛龍だけが集中的に狙われている
ようでした。飛行甲板に描かれたどでかい
日の丸が敵機を呼び寄せているようでした。

 アメリカのパイロットも、赤い日の丸を見て、
闘争心に火がつき、せめてきているようでした。
魚雷を放った雷撃機は、飛龍の手前で急降下
したり、旋回しようとしていますが、後方から
追いかけてきた零戦に、機銃弾を浴びました。

 空は、対空砲火と空中戦で咆哮をあげ、
火焔や黒煙の尾を引いた雷撃機が海面に
落ちてきました。魚雷を抱いたまま、粉々に
飛び散るものもあり、ろくに狙いもせずに、
闇雲に放った魚雷もありました。

 流れ魚雷に当たってはたまらないので、
加来艦長は、冷静に号令をかけ、魚雷を
かわしていきました。飛龍は、7~9本の
魚雷攻撃を受けましたが、全てかわす
ことができました。

 エンタープライズの雷撃機は、14機のうち
11機が撃墜されました。この時、山口少将は、
攻撃命令が出るのはいつなのかと待ち構えて
いました。


紹介書籍:山口多聞 空母「飛龍」と運命を共にした不屈の名指揮官
著者:松田 十刻(まつだ じゅっこく)
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