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山口多聞 蒼龍被弾 [山口多聞]

 加賀が被弾したところを見ていた山口少将と
艦橋にいた幕僚のところに、「敵機は、赤城と
蒼龍にも向かっています。」という報告が飛び
込んできました。山口少将は、蒼龍の方を
見ました。

 上空で警戒していた零戦が応戦する間もなく、
爆撃機が高高度から急降下していきました。
零戦の多くは、低空や中空で雷撃機を邀撃
しており、高高度で警戒していた機体は
あまりいませんでした。

 慌てて急上昇しても間に合いませんでした。
いったん高高度から急降下した爆撃機を撃ち
落すことは、まず不可能でした。ダイブする前か、
攻撃を終わった後しか狙い撃ちできませんでした。

 蒼龍は回避行動に移りましたが、13発の
爆弾が蒼龍を襲いました。蒼龍から外れた
爆弾が海中で炸裂し、巨大な水柱が蒼龍を
飲み込みました。水柱を通して白い閃光が
いくつかほとばしりました。

 蒼龍は、艦橋前部付近と、飛行甲板の中央、
後部リフト付近に直撃を食らいました。水柱が
消えると、もうもうとした爆煙が艦全体から
立ち上っていました。

(追記)
 ミッドウェー海戦で、空母が次々に爆弾を
食らい、飛行甲板にいた「爆弾を積んだ
航空機に誘爆して、あっという間に手の
施せない被害に至った。」というのは、
良く知られるエピソードです。

 このようなことを防げなかったのかという
議論はよく出されます。しかしながら、ここまでの
状況を見ると、最大の問題は、禁止されていた
兵装転換を行ったことに集約するといえます。

 爆弾を食らうことは防げないとしても、
攻撃隊が飛び立った後であれば、被害は
限定的になったといえます。


紹介書籍:山口多聞 空母「飛龍」と運命を共にした不屈の名指揮官
著者:松田 十刻(まつだ じゅっこく)
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山口多聞 加賀被弾 [山口多聞]

 機動部隊に迫っていた敵爆撃機は、ダグラス
SBDドーントレスで、最大速度は400kmですが、
急降下している時は、500kmを越える速度を
出すことができました。爆弾は、540kg搭載
する事ができました。

 機動部隊は、低空飛行してくる雷撃機の
攻撃に気をとられており、上空にまで神経が
行き届いていませんでした。急降下攻撃は、
下界から死角になった空域を飛んできて、
全くの不意打ちをつくかたちで現れました。

 加賀は、飛龍からの信号に了解と答える前に、
上空に向けて一斉に高角砲と機銃を放ち
ました。加賀から赤い曳航弾が無数に空へ
吸い込まれていきました。

 SBDドーントレスがほぼ一点で急旋回し、
上空4000mから糸を引くようにダイブして
きました。

 数機が爆弾を切り離す前に、大爆発して
飛び散りました。運よく被弾を免れた爆撃機が、
狙いを定めて爆弾絵を投下しました。黒い点が、
加賀目掛けて斜めに飛んでいきました。

 第1弾~第3弾までは外れましたが、第4弾が
右舷後方に命中し、鈍い音を立てて、赤黒い焔を
あげました。さらに、第7弾と第8弾が、前部昇降機
付近に命中し、第9弾が、飛行甲板の中央を直撃
しました。

 この時の爆撃で、加賀の艦長岡田次作大佐は
戦死しました。甲板に勢ぞろいしていた艦上機が
粉々に飛び散り、小さかった噴煙が見る見る
巨大化して、上空に舞い上がりました。

 この光景を見ていた山口少将は、「くそ」と
言葉にならない怒りと憤りを感じました。艦橋に
いただれもが信じられない思いで、「加賀」を
見やりました。悲鳴を押し殺したような声を
あげた者もいました。


紹介書籍:山口多聞 空母「飛龍」と運命を共にした不屈の名指揮官
著者:松田 十刻(まつだ じゅっこく)
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