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山口多聞 攻撃隊発艦の遅れ [山口多聞]

 宇垣参謀長は、敵空母殲滅後のことに、
頭をめぐらしていました。

 敵機動部隊を壊滅すれば、主力艦隊が、
ミッドウェーに、艦砲射撃を加え、上陸
作戦を支援することになっていました。

 連合艦隊の司令部は、自分達の出番である、
翌日のことに意識が向いていました。しかし、
これはただの絵空事になりました。

 午前5時40分頃、機動部隊の周囲から、
敵機が去っていきました。台風の目の中に
入ったような不気味な静けさが訪れました。

 上空で、待機していた艦上機は、救われた
ような気持ちで、着艦態勢をとりました。

 午前6時5分、赤城から、「収容が
終わったら、いったん北に向かい、
敵機動部隊を捕捉殲滅する。」という
発光信号が送られてきました。

 司令部は、午前7時30分までに攻撃隊を
発艦させられると見込んでいました。

 一方で、山口少将は、胸をかきむしりたい
気分でした。攻撃隊を収容する前に、発艦
準備のできた艦上機を攻撃に向かわせる
べきだという考えは、変わりませんでした。

 待機していた半分の搭乗員は、元気横溢で、
戦闘意欲も高い状態でした。しかし、攻撃隊
収容まで、格納庫に押し込められ、待たされる
ことになりました。

(追記)
 宇垣参謀長は、山口少将がうまくやってくれると
期待していたようですが、山口少将の意見具申は
ことごとく無視され、司令部の指示である兵装転換
禁止まで破られていました。

 山口少将とすれば、連合艦隊司令部の命令を
無視している機動部隊司令部を無視して、第二
航空戦隊を指揮したいと考えていたと思われ
ますが、軍隊である以上、無視できなかったと
いえます。


紹介書籍:山口多聞 空母「飛龍」と運命を共にした不屈の名指揮官
著者:松田 十刻(まつだ じゅっこく)
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山口多聞 都合のいい憶測 [山口多聞]

 源田参謀は、攻撃隊を飛ばすには、できれば
正攻法で、いきたいと考えていました。時間は
まだあると勝手に判断していました。
都合のいい憶測でした。

 連合艦隊旗艦大和の艦橋の中では、敵空母の
発見に小躍りしていました。司令部の幕僚は、
これで、敵機動部隊を壊滅できると、ほくそ
笑みました。

 しかし、山本長官は、不吉なものを感じて
おり、「直ぐにやれと言わでもよいか。」と
幕僚に問いかけました。

 これに、黒島先任参謀が、「機動部隊は、
艦上機の半分を艦船攻撃用に待機させる
ように指導しております。

 参謀長にも、口達でもくどいように申し伝えて
おりますから、今さら指示しなくてもよろしい
でしょう。もうじき攻撃隊が発艦すると思います。」
と返答しています。宇垣参謀長も同意見でした。

 しかし、これは、希望的観測による意見としか
言えませんでした。まさか、ミッドウェー基地への
第二次攻撃のために兵装転換し、さらに、
敵艦隊発見で、再びもとに戻すという失態を
演じているとは、考えていませんでした。

 宇垣参謀長は、盟友の山口少将が、これまで
同様うまくやってくれるだろうと考えていました。

(追記)
 上記の状況を見ると、連合艦隊司令部と、
機動部隊司令部では、認識に大きなズレが
あることが分かります。

 連合艦隊司令部の意見が、上記の認識通り、
機動部隊司令部に伝わっていたのであれば、
兵装転換はしなかったと思われます。

 機動部隊司令部は、連合艦隊司令部の
考えは参考程度にしか、とらえていなかった
としか思えません。


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著者:松田 十刻(まつだ じゅっこく)
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