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源田実参謀 爆撃案却下される [源田実航空作戦参謀]

 書簡を見せられてから2週間ほどたった
3月始め、再び大西少将の元を訪れ、
魚雷発射が可能な場合と不可能な
場合の2種類の攻撃計画案を、
手渡しました。

 源田参謀の案は、雷撃が可能であれば、
艦上攻撃機を全機雷撃機とし、これに、
艦上爆撃機と組み合わせて、共同攻撃を
するというものでした。不可能な場合は、
艦上爆撃機のみで、250kg爆弾の急降下
爆撃を行うというものでした。

 そして、どちらの案でも、主攻撃目標は
空母で、戦艦や巡洋艦以下の艦艇と飛行場
施設は、副攻撃目標となっていました。参加
空母は、赤城、過が、蒼龍、飛龍、龍驤の5隻と
なっていました(この時期、翔鶴、瑞鶴は、
完成していません)。

 攻撃は、戦果を徹底確実にするため、片道
攻撃ではなく、往復反復攻撃とする。機密
保持のため、アリューシャン列島南側の
北方航路とする。というのが、骨子でした。

 源田参謀の答申は、山本長官の作戦構想に
全面賛成した上で、自分が疑問と思っていたこと
のみ変更し、実行には幾多の困難があるが、
努力によって排除できるという意欲に
満ちたものでした。

 山本長官と、源田参謀は、性格や思考法が
似ており、作戦思想は奇想天外で花々しい
ことを好む傾向がありました。源田参謀の案を
受け取った大西少将は、検討を重ね250kg
爆弾では成果は期待できないとし、800kgの
水平爆撃をすることにしました。

 この案を見た山本長官は、爆弾だけでは
効果は期待できないので、空襲作戦は断念
するしかないと、不満そうに告げています。


紹介書籍:航空作戦参謀 源田実
著者:生出 寿
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源田実参謀 真珠湾攻撃の検討 [源田実航空作戦参謀]

 山本長官から個人的に見込まれ、真珠湾
攻撃の構想が書かれた極秘の書簡を
受け取った大西少将は、自分の
腹心的存在の源田参謀を、個人的に
見込み書簡を見せたという経緯が
ありました。

 源田参謀は、書簡を読んだときに感じた疑問を、
大西少将にぶつけてみました。一つ目が、戦艦を
標的にしていることでした。戦艦無用論を唱えて
いる源田参謀としては、空母を標的にすべきと
考えていました。

 もう一つが、片道攻撃となっていることです。
これは、明確に反対しています。母艦だけ
へっぴり腰で飛行機を出したら逃げ
出したのでは、統帥上大きな問題に
なる上に、攻撃の効果も充分なものを
期待できないと考えました。

 大西少将は、一つ目の疑問については、兵術的
利害ではなく、心理的効果を狙っていると返答して
います。この当時、大艦巨砲主義が大勢ですので、
戦艦が沈んだ方が、がっかりくるだろうと
考えているとしています。

 二つ目の疑問も同様の効果だろうとしています。
片道攻撃をした国はどこにもないので、開戦劈頭
このような無茶苦茶なことをすれば、気がふれた
ような奴は相手にできないと思わせられると
しています。

 源田参謀は、第一標的は空母にすべきという
案を再度言っていますが、大西少将はその点には
触れず、第一の要件は機密保持であると告げて、
研究してくれと頼みました。

 こうして、世紀の愚作としかいえない真珠湾
攻撃は、反対されることなく、具体的な研究に
着手することになりました。

 源田参謀は、この後加賀に戻り、誰にも話さずに、
自分の私室で、ひそかに検討を始めました。


紹介書籍:航空作戦参謀 源田実
著者:生出 寿
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