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源田実参謀 連合艦隊のハワイ攻撃に対する主張 [源田実航空作戦参謀]

 黒島大佐のハワイ攻撃の必要性は、
以下の通りです。

①ハワイ攻撃は冒険的な作戦であることは認めるが、戦争には
  冒険がつきものであり、冒険を恐れては、戦争はできない。
②南方作戦のためにも、アメリカ艦隊を空襲して置く必要がある。
③南方作戦の途中でアメリカ軍が来航した時に迎撃するのは、
  間に合わないことも考えられる。
④マーシャルを占領されて、多数の飛行艇を配備されたら
 奪還は困難である。
⑤そうなると、南洋諸島は次々に攻略され、奪われてしまい、
 艦隊決戦を行うのは不利となる。
というものでした。

 連合艦隊も軍令部もどちらも譲らず、激しい
論争を繰り返しました。しかし、結論は出ず、
相互に相手の主張を考慮して作戦を練り
直し、9月中旬の図上演習において、
主催に研究し、検討する事に
なりました。

(追記)
 上記の連合艦隊の意見は、「アメリカ軍の
主力艦隊を奇襲で撃滅すれば、日本に
攻撃してこない。」という希望的な憶測に
基づいています。

 しかしながら、有史以来、敵が一方的に攻撃
してきたことに恐れをなして反撃しなかったという
国家はないといえます。ならば、わざわざ敵を
増やすような攻撃をする必要性がどこに
あるのかとなります。

 一方で軍令部のハワイ攻撃の反対理由は、
全て技術的なもので、クリアすればOKという
印象を与えています。ハワイ攻撃に反対
するのであれば、戦略上の観点から、日本に
とって全く無駄な攻撃であると示す必要が
あるといえます。

 ハワイ攻撃は、南洋作戦と違い、資源の
確保も、拠点の確保もできません。仮に
確保しても遠すぎて維持できず、反撃の
ための的を与えるようなものです。


紹介書籍:航空作戦参謀 源田実
著者:生出 寿
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源田実参謀 軍令部のハワイ作戦に対する見解 [源田実航空作戦参謀]

 黒島大佐が、対米英蘭作戦計画の内示を
申し出て、受け取った計画案を見ると、
以前から海軍が申し出ていたハワイ
奇襲作戦は組み込まれていません
でした。

 山本長官や、源田参謀同様、奇策を好む
黒島大佐は憤激し、採用を強硬に迫り、
反対していた軍令部の富岡大佐と
大激論になりました。

 富岡大佐は、黒島大佐の一期下でしたが、
自身の作戦計画に自信を持っていたことと、
連合艦隊は、軍令部の命令に従うべきだ
という原則を踏まえて、後に退きません
でした。

 軍令部が反対したのは、作戦上の問題でした。

①2週間近い航海中、艦船遭遇して企図が漏れる。
 この場合、敵に反撃され、被害が大きくなる。
②航続距離がないため、洋上補給する必要がある。
 天候によっては不可能となる。
③敵軍が真珠湾に在泊していない可能性がある。
④攻撃当日、何らかの理由で奇襲できなくても、
 開戦を延期はできないので、強襲することになる。
⑤雷撃、水平爆撃、急降下爆撃のどれも、戦艦や
 空母に致命傷を与えるのは困難。
⑥南方作戦は資源確保のため必須であり、大部隊を
 投入する必要がある。
⑦投機的であり、成功の確実性が薄い。
⑧アメリカ軍が日本を攻略するのであれば、
 マーシャル諸島を目指すはずで、
 ここを占領されても、この後のアメリカ軍の
 動きは読みやすくなり、かえって好都合。
といったものでした。

 これに対し、黒島大佐も強硬に連合艦隊の意向を
主張しました。


紹介書籍:航空作戦参謀 源田実
著者:生出 寿
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