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源田実参謀 黒島亀人先任参謀 [源田実航空作戦参謀]

 連合艦隊先任参謀の黒島亀人大佐は、
古狸のような容貌で、陰気、無口、
愛想も協調性もほとんどない、
奇想天外を絵に描いたような
男でした。

 長門の中甲板後部左舷側にある私室の
舷窓に蓋をして暗がりの中、越中フンドシ
一つのまま、座禅をするような格好で、
一日瞑想を続けていました。食事も、
幕僚とは一緒にとらず、従者に
運ばせていました。

 幕僚らは、このような態度に好感を持つ
はずはなく、「黒島変人」、「黒島仙人」と
言っていました。山本長官のみ、「ガンジー」と
仇名をつけただけで何も言わず、特別
待遇していました。

 山本長官から、ハワイ作戦に空母全力を
持って、実施する決心に変わりはない。
自分は職を賭しても断行する決意で
あることを軍令部に伝えよと命じられた
黒島先任参謀は、10月19日に軍令部に
出頭し、福留部長と富岡課長に空母6隻の
使用案の採用を迫りました。

 軍令部は、この案を受け付けませんでした。

(追記)
 山本長官が黒島参謀を評価していたのは
訳があります。

 ガダルカナル島の攻防が激しくなり、敗色
濃厚になった時、「黒島君は、人の考えが
及ばぬところ、気が付かぬところに着眼して、
深刻に研究する。時に奇想天外なこともあり、
それをはばからず直言する美点がある。

 司令部には沢山の参謀がいるが、問題が
起きるとほぼ同じ意見ばかり出てくる。しかし、
黒島君は皆と違った角度で物を考えて出す。
これはきわめて重要なことだ。」としています。

 山本長官は、合理的で着実な案より奇想
天外な策を好んだことから、黒島参謀を
偏愛したといえます。


紹介書籍:航空作戦参謀 源田実
著者:生出 寿
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源田実参謀 翔鶴、瑞鶴のハワイ攻撃参加 [源田実航空作戦参謀]

 軍令部は、10月7日、赤城、加賀、蒼龍、
飛龍の空母4隻をハワイ攻撃に使用し、
9月の南方(フィリピン、マレー、蘭印方面)
作戦に、翔鶴、瑞鶴を宛てることにして、
陸海軍中央協定案を求めていました。

 しかし、戦争の準備が遅れ、開戦が11月
中旬以降となったため、翔鶴と瑞鶴もハワイ
攻撃に参加させることができることになりました。
これを受けて、軍令部も、ハワイ攻撃を
することに決定しました。

 連合艦隊司令部は、ほぼ固まった作戦
計画を各部隊に徹底させるため、10月9日~
13日にかけて、旗艦長門で図上演習を
行いました。

 10月9日午前8時30分、山本長官は
熱意をこめて、美文調の訓示を行い、
重大時局に対処する主将の決意を
明らかにしました。

 「思うに帝国の直面する現下の情勢は、
正に未曾有の難局にして、帝国は日ならず
米英蘭等の数カ国に対し、積極的に武力
発動して、自存自衛の活路を求めるの
已むなき事態に立致らんとしつつあり。

 戦勝の途、もとより容易ならずといえども、
我において、まず必勝の兵力と待つあるの
備えを具有するとともに、遠謀遠慮画策を
密にし、将兵一心貫くに忠誠の一念を
以って、勇猛果敢、事に当たらば、
又何物かならざらんや。・・・」
といったものでした。

 10月12日に図上演習で、南雲長官や
草鹿参謀長らは、ハワイ攻撃の確実な
成功を期するために、翔鶴、瑞鶴を加えて
もらうよう要望しました。

 山本長官は、「やる限り、実施部隊の
要望する航空兵力の実現には全力を
尽くす。」として、承認しました。

 源田参謀は、上記の山本長官の言を聞き、
「名将の言行について色々聞かされてきたが、
本当の名将とはこんな人のことを言うのだろう。」と
感激したとしています。


紹介書籍:航空作戦参謀 源田実
著者:生出 寿
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