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巡洋艦那智 敵軍の状況 [巡洋艦那智]

 煙幕で敵艦が見えなくなると、視認できる
艦に目標変更することになります。こうして、
あれを撃ち、これを撃ちといった砲撃戦が、
長時間続きました。

 後日、敵側の記録を見ると、午後6時38分に、
エクゼターに砲弾が命中し、大損害を与えた
ようでした。エクゼターは速力が急減したので、
後続艦との衝突を避けるため、左へ急転舵
したが、各艦も一斉回答と勘違いし、ついて
いったということでした。

 このため、旗艦と離れたところに、オランダ
駆逐艦コルテノールに魚雷が命中し、撃沈
されたことで、艦隊全体が大混乱となった
ようでした。ドールマン少将は、避退しながら、
戦線の立て直しを図りました。

 このような中で、最も手強かったのは、
アメリカのヒューストンで、味方を援護
しながら、斉射を浴びせてきました。

 応戦すると、巧みに煙幕の影に隠れる
という、敵ながら天晴な活躍だったと、
しています。

 那智は、ヒューストンを躍起になって
撃ちましたが、避退運動の名手に、
弾丸は、むなしく魚を驚かす効果しか
ありませんでした。

 しかも、無我夢中の砲撃戦で、一門あたり
100発の砲弾があったはずが、底を
ついてきました。

 萱嶋氏は、砲戦の推移を見守って
いましたが、そろそろ心配になって
きました。

 早く結末をつけるためにも、近迫猛撃のほか、
最良の策はありませんでした。肉を切らせて、
骨を断つということでした。

 逃げ腰では、砲弾も命中しないし、いずれ、
弾丸がなくなるのは目に見えてきました。


紹介書籍:重巡「最上」出撃せよ
著者: 「矢矧」井上芳太、「那智」萱嶋浩一、「熊野」左近允尚敏、最上:曾禰章、「五十鈴、摩耶」井上団平
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巡洋艦那智 那智の避弾運動 [巡洋艦那智]

 敵艦に砲撃している時は、当然ながら
敵艦も砲撃してきました。

 那智も夾叉されることがあり、この状態に
恐怖が出てきました。那智の乗員は、艦隊
相手の砲撃戦は初めてであり、全員初陣
同然でした。

 敵は、砲弾が着色弾で、前後左右に赤や
黄色の巨大な、水柱を林立させていました。
艦橋は、この状態に逆上気味となりました。

 自然と、敵の射程外に退避しようという
気持ちになり、面舵いっぱいという号令が
くだされました。

 しかし、高速で面舵を一杯にとると、艦は、
左に大きく傾きます。遠距離射撃中に敵の方に
傾いたのでは、大砲の俯角は制限いっぱいに
なってしまいます。

 そうなった時は、発砲電路を断にすることに
なっていました。当然ながら、弾は出なくなります。
弾丸が発射しないというのは、心細くなります。

 そのため、艦橋も気を取り直して、取舵をとって、
敵に近寄っていきました。そして、夾叉するとまた
避退するを、繰り返します。期せずして、那智も
避弾運動をすることになります。

 巡洋艦同士が、20kmも離れた距離で、互いに
避弾運動をしながら撃ち合っているので、当たらない
のは当然の結果でした。しかも、効果が分かる前に、
目標変更がなされるため、効果があがりません
でした。

 しかし、撃ちまくった結果、敵陣に動静が
現れてきました。敵の一番艦と二番艦の
足並みが、乱れ始めました。そこに、
駆逐艦が煙幕を展張して、
隠そうとしました。

 艦から敵艦が視認できないと射撃できないので、
撃ち方待てとなります。


紹介書籍:重巡「最上」出撃せよ
著者: 「矢矧」井上芳太、「那智」萱嶋浩一、「熊野」左近允尚敏、最上:曾禰章、「五十鈴、摩耶」井上団平
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