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巡洋艦熊野 対空戦闘と、水上戦闘 [巡洋艦熊野]

 敵空母部隊は煙幕を張り、避退しつつ、
急いで艦上機を発艦させていました。以後、
対空戦闘と、水上戦闘を同時にやることに
なりました。

 午前7時3分、突撃が下令され、最大船速の
35ノットに増速しました。第7艦隊は、敵の
進路を遮断するように、針路をとりました。

 ようやく18kmまで、接近した熊野は、
午前7時10分に、20cm主砲の火蓋を
切りました。

 この間、敵の艦載機は、執拗に攻撃を
加えてきました。見張りからの、「艦尾急降下」
という報告があり、12,7cm高角砲と、
56門の25mm機銃が応戦し、主砲は、
空母を狙いました。

 しかし、回避運動が、主砲の照準を困難に
していました。幸い、敵機は、緊急発艦した
ようで、爆弾を積んでいるものは少なく、
機銃弾による攻撃を注いできました。

 熊野の主砲が、数斉射浴びせ、ようやく
目標を捕捉しようとする頃、敵駆逐艦が
一隻飛び出してきました。

 煙幕を張りながら接近し、第七戦隊の
右舷を反航しようとしてきました。前部と
後部の砲塔から、連続して閃光が放たれ
ました。探照灯が点滅しているように
見えました。

 砲弾は、熊野と鈴谷の間に、多数の水柱を
上げました。着色団のようで、赤、青、黄色の
きれいな水柱でした。

 熊野は、主砲を右に旋回し、敵駆逐艦に
砲塔を向けました。砲撃をしようとした時、
上空からSB2Cが3機、来襲してきました。
熊野は、敵機が急降下に入るや、転舵
しました。

 霰が、トタン屋根を叩くような、機銃弾が
戦隊に当たる音が響いてきました。続いて、
ダイブから引き起こした敵機の爆音が
しました。


紹介書籍:重巡「最上」出撃せよ
著者: 「矢矧」井上芳太、「那智」萱嶋浩一、「熊野」左近允尚敏、最上:曾禰章、「五十鈴、摩耶」井上団平
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巡洋艦熊野 水上艦隊と、空母部隊の水上戦闘 [巡洋艦熊野]

 艦影を見ることなく一夜が開けた
10月25日の朝は、ところどころに
スコールが見えました。

 熊野が所属する第七戦隊は、艦隊の
針路170度、速力22ノット、左前方を
進撃しており、熊野は、第七戦隊の先頭に
立っていました。

 午前6時40分頃、熊野は、哨戒中らしい
SB2Cを2機発見しました。2機が、
艦隊の砲撃を受けて姿を消した頃、
鳥海から「敵水部隊見ゆ。」という
報告がありました。

 同時に、熊野の見張りから、「空母一隻」と
いう報告がありました。左近允氏は、すぐに
大型眼鏡につき、目標を確認しました。
空母や巡洋艦を、距離30km以上の所に
確認しました。

 この報告を受け、旗艦の大和に信号が
上っていきました。熊野に乗艦している
第7艦隊の白石司令官は、「砲雷同時戦
用意、32ノットに増速。」などと、次々に
下命しました。色とりどりの旗が、熊野の
ヤードを上下しました。

 史上空前にして、絶後となるであろう、
水上艦隊と、空母部隊の水上戦闘の幕は
切って落とされました。

 敵の空母は最低3隻はいるようでした。
熊野は、艦隊の先頭に立って、これに肉薄し、
以下、鈴谷、筑摩、利根と続きました。

 突如、遠雷のような響きが聞こえました。
旗艦大和が、主砲射撃を開始したようでした。
時刻は、午前6時59分、距離32kmでした。
熊野の有効射程距離は、20kmでしたので、
まだ砲撃することはできませんでした。

 間合いをつめるべく、進撃していくと、
見張りから、「大和の弾着、空母に命中。」
という報告がありました。


紹介書籍:重巡「最上」出撃せよ
著者: 「矢矧」井上芳太、「那智」萱嶋浩一、「熊野」左近允尚敏、最上:曾禰章、「五十鈴、摩耶」井上団平
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