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巡洋艦那智 緩みきった艦内 [巡洋艦那智]

 無事に揚陸した東方部隊に対し、西方部隊は、
バタビア沖に入泊した直後、不意に敵巡洋艦
2隻のため、一時混乱をきたし、直ちに
駆けつけた最上、三隈などの奮戦によって、
2隻を撃沈することができました。

 (以前紹介したことがありますが、この時、
最上が、味方の陸軍輸送船を、誤射して
沈めてしまい、陸軍の今村中将を泳がせる
という失態を演じています。)

 この時撃沈した巡洋艦2隻は、那智らが
取り逃がした巡洋艦2隻でした。不屈の
闘いを続けて、ついに力尽きたてとどめを
刺された恰好の敵巡洋艦でしたが、最後まで
積極的な敢闘精神は、敵ながら見上げたもの
でした。

 明けて3月1日、那智ら第五戦隊は、残敵に
備えて、上陸地点の北方を警戒しつつ、
スラバヤ沖を遊弋していました。

 この日、南洋の空は澄んでおり、紺碧の海は、
うねり一つない熱帯の微風が、爽やかに感じました。
強敵を排除して、友軍の上陸を成功させ、作戦は
ヤマを越し、味方は一隻の撃沈艦も出して
いませんでした。

 敵艦の轟沈するのを目前で見た後で、存分に
戦ったという満足感と、心地よい疲労が、混じり
合っていました。

 やむをえないとはいえ、緊張に欠けており、
快勝で、兜の緒が緩見過ぎであると言えました。
演習で、「終結」と言われた時のような、
ホッとした感じが、漂っていました。
誰の顔にも、筋肉の緩みが見えました。

 しかし、敵はまだ残っていました。この時、
那智は、緩み切った状態で、哨戒配備と
なっていました。


紹介書籍:重巡「最上」出撃せよ
著者: 「矢矧」井上芳太、「那智」萱嶋浩一、「熊野」左近允尚敏、最上:曾禰章、「五十鈴、摩耶」井上団平
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巡洋艦那智 残り2隻の行方 [巡洋艦那智]

 2隻轟沈させた那智と羽黒は、他の
2隻はどこに行ったのかと、思いを
巡らせました。

 しかし、数十分直進しており、敵との
距離が離れていました。慌てて敵側へ
舵を切りましたが、残る2隻の行方は
つかめませんでした。

 最も砲弾も魚雷もない状態なので、
見つからなくて幸いだったとも言えます。
爆発している敵艦を目印に、あちこちと
駆け回りましたが、漂流して救いを求める
敵兵の群れを見つけただけでした。

 実際、アメリカ軍の記録によると、
旗艦が撃沈されたことで、緊急回避し、
反転していました。東方を探していた
那智らは、方向違いのところを
探していたことになります。

 モリソン戦史によると、「勇敢なる
ドールマン少将は、救助活動をやらないで、
バタビアへ避退するように命じた。」と
あります。

 しかし、予期しない一撃を食らって、
一瞬で撃沈した艦が、海底から電報を打つ
余裕があるとは思えず、英雄作りの神話の
たぐいだろうとしています。

 負け戦になると、アメリカ軍も報告は
あてにならないということを、示して
います。末期の大本営発表のみを、
責めることはできないだろうと
しています。

 敵の不意打ちに始まった第二戦は、
酸素魚雷の威力と夜戦の修練がものを
いい、敵巡洋艦2隻を撃沈して、
凱歌が上がりました。

 この夜戦で、味方の駆逐艦が一隻も
間に合わず、巡洋艦2隻を取り
逃がしたのは、無念の極みと
しています。

 そして、この日の夜半、無事にクラガン沖に
入泊した東方攻略部隊は、その夜のうちに、
陸兵を揚陸することができました。


紹介書籍:重巡「最上」出撃せよ
著者: 「矢矧」井上芳太、「那智」萱嶋浩一、「熊野」左近允尚敏、最上:曾禰章、「五十鈴、摩耶」井上団平
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