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巡洋艦那智 エクゼター撃沈 [巡洋艦那智]

 エクゼターは、昼間の砲撃戦で、被弾した
艦であり、速力も落ちている上に、後部の
砲はなかば中空を向いて動かず、さらに
カタパルト上の飛行機も、壊れている
ことが報告されました。

 こちらは、魚雷はなく、砲弾は残り僅か
でしたが、5体満足なので34ノットの
機動性を誇り、敵を寄せ付けず、退路を
断つことも容易と判断されました。

 そこで、緩慢な砲撃を繰り返し、近寄らずに、
足柄と妙高が来るのを待ちました。まもなく、
反対側に足柄と妙高が姿を現しました。

 はやる両艦から、斉射弾がツルベ打ちに
エクゼターの周囲に、叩き込まれました。
こうなると袋のネズミなので、第五戦隊は、
新来の友軍に任せて、ヤレヤレという
ところでした。

 エクゼターは、イギリス海軍の伝統に
そむかず、最後まで戦っていました。
しかし、孤軍奮闘虚しく、相次ぐ命中弾で、
航進を止め、右に大きく傾いて、甲板が
水につかる状態となりました。

 最後は、日本軍の駆逐艦の雷撃を受け、
とどめを刺され、海底の藻屑となりました。
随伴の敵駆逐艦は、1隻は、この場にとまって
戦闘をし、撃沈されました。

 駆逐艦に、20cm砲の斉射は、鶏頭を
割くのに、牛刀を用いるようなものであり、
あっけなく撃沈しました。残りの一隻は、
いち早く脱出し、スコールに紛れて、
水平線の彼方に逃れていきました。

 息をつく間もなく、逃げた駆逐艦を
追って、追撃戦に移りました。


紹介書籍:重巡「最上」出撃せよ
著者: 「矢矧」井上芳太、「那智」萱嶋浩一、「熊野」左近允尚敏、最上:曾禰章、「五十鈴、摩耶」井上団平
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巡洋艦那智 のんびり敵発見 [巡洋艦那智]

 午前11時すぎ、艦橋見張りの声が
とびました。しかし、戦闘体験者の
平然たる報告ぶりで、緊急事態とは
思えませんでした。

 内容は、「マスト一本、右10度。」
というもので、敵とは考えていません
でした。というより、敵であるはずが
ないという心理が働いていました。

 そのうち、マストが徐々に水平線から
せり上がってきました。ここで、砲術参謀が、
「あれは、味方だ。バリ島から引き揚げて
きた輸送船と駆逐艦だろう。」と言いました。

 萱嶋氏は、あのマストから、味方だと
判断した根拠はどこにあるのだろうと
感じました。

 そこで、見張員に、よく確かめるように命じ、
萱嶋氏自身も大型眼鏡で、確認しました。
すると、哨戒をしていた水雷長が、のんびりと、
「マストの前に艦橋がある。」と言ってきました。

 これを聞いた副長が、「配置につけ」と
大声で号令をかけました。マストの前に艦橋が
あるのは軍艦であり、しかも、味方艦のはずも
ありませんでした。のんびり対応するような、
余裕はありませんでした。

 萱嶋氏は、タラップをおり、発令所に急ぎ
ました。戦闘服に着替える余裕はなく、
号令をさばきました。同時に、各砲塔
当たりの砲弾数を確認しました。

 各砲門につき、1桁しかないようでした。
これでは、「指令撃ち」をするしかありません
でした。

 出現した敵は、イギリス巡洋艦エクゼターと
駆逐艦2隻でした。一方で、味方の方は、
増援として、那智の同型艦の足柄と妙高が、
主隊にいるはずでした。直ちに、「敵見ゆ」の
緊急信号を発信しました。


紹介書籍:重巡「最上」出撃せよ
著者: 「矢矧」井上芳太、「那智」萱嶋浩一、「熊野」左近允尚敏、最上:曾禰章、「五十鈴、摩耶」井上団平
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