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巡洋艦熊野 味方からの爆撃 [巡洋艦熊野]

 味方の水上機を追い払った後、見張長が、
識別資料を持って、人見艦長のところに
来ました。

 「今の航空機は瑞雲のようでした。」という、
左近允氏と同じ見解を示しました。左近允氏は、
1年前に、横須賀航空隊で、瑞雲を見ていたので
知っていましたが、人見艦長以下、他の乗員は、
瑞雲を見たのは初めてでした。

 にしても、どちらにせよ、けしからん話だと、
言い合っていました。

 ところが、一時間も経たないうちに、今度は
天山艦上攻撃機に、熊野が気づかないうちに
投弾されました。

 幸い、義理にも至近弾とも言えない投下
でしたが、奇怪至極な話であると同時に、
ただただ唖然とせざるをえませんでした。

 現状、熊野は、艦首がなく特有の形は
しているとはいえ、注意すれば、最上型
巡洋艦であることは分かりそうなもの
でした。

 これが陸軍機からの攻撃なら、まだ
分かりますが、同じ海軍の機体に攻撃
されたというのが、信じられない
思いでした。

 最初の瑞雲の爆撃は、大きな破片が、
後甲板に飛び込んできており、命中
していたらと思うと、慄然たるものが
ありました。

 「味方がいるはずがない場所なら
敵とせよ。」という判断だと思われ
ますが、うかつすぎると言えます。

 単艦になってから、数時間が経過した
ものの、敵機の来襲はなく、味方機に
気をつけてもらう必要がありました。
一番砲塔の上に大きな日の丸の旗を、
展張されました。

 そして、人見艦長は、味方の航空機から
爆撃を受けたことを、電報で発信しました。


紹介書籍:重巡「最上」出撃せよ
著者: 「矢矧」井上芳太、「那智」萱嶋浩一、「熊野」左近允尚敏、最上:曾禰章、「五十鈴、摩耶」井上団平
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巡洋艦熊野 突然の空爆 [巡洋艦熊野]

 左近允氏が、戦艦らしき敵艦隊を発見
したことで、熊野は、戦闘態勢に入りました。

 ところが、間もなく岩であることが分かり
ました。左近允氏は、疑心暗鬼から、枯尾花を
幽霊と見て、しまったわけではなく、岩が
戦艦の前檣に似ていたためだとしています。

 これを知った人見艦長は、「魚雷は完全だし、
ひと合戦やれるぞ。」と破顔一笑しました。


 航行を続け、正午前ころ、「零式水偵3機、
近づく」という報告がありました。見ると、
日の丸が見え、安心しました。

 しかし、突然大きな音がしました。中部
左舷から数10mの海面に水柱が上がり、
艦橋前方を上昇していく水上機が
ありました。

 艦尾の方向から降下爆撃をしたようでした。
見張り委員から、「日の丸はつけているが、
零式水上偵察機ではない。」という報告が
ありました。

 それを聞き、人見艦長が、「撃ち方はじめ」を
下命しました。左近允氏は、爆撃した機体を確認し、
瑞雲のようだと報告しました。

 しかし、艦長は、「かまわん。撃て。」と
命じました。前部の機銃が、火をふき、
高角砲も斉射しました。航空機は、
たちまち遠ざかっていきました。

 瑞雲は、新しい水上爆撃機で、零式水上
偵察機に似ていますが、エンジンと、尾部に
相違点があります。人見艦長は、左近允氏の
進言で、味方の機体だということは理解して
いたと思われます。

 しかし、誤爆してきたことをけしからんと
思ったことから、攻撃を命じたようでした。


紹介書籍:重巡「最上」出撃せよ
著者: 「矢矧」井上芳太、「那智」萱嶋浩一、「熊野」左近允尚敏、最上:曾禰章、「五十鈴、摩耶」井上団平
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