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巡洋艦那智 敵艦隊再び [巡洋艦那智]

 1942年2月28日午前0時、
見張りを厳重にして南下していた
那智は、その左前方に再び敵を
発見しました。

 再度の経験から、艦橋は落ち着いて
いました。夜戦は、自信があるという
ところでした。

 これまではすれ違っていましたが、
司令官は、今回は、敵前で、180度の
反転をしてのけ、右同航の態勢となり
ました。萱嶋氏は、見事な指揮ぶりだと
感心していました。

 「砲雷同時戦用意」の号令がかかり、
戦闘用意はまたたく間に整えられました。
しかし、昼間の戦闘で、砲弾はわずかしか
なく、魚雷も、那智と羽黒合わせて12本しか
ありませんでした。これでは、うかつな戦闘は
できませんでした。

 またしても、敵吊光弾が、両軍の中間くらいに
提灯を下げたようにずらりと並びました。しかし、
敵の着弾は、全近でした。昼間は見えない砲弾も、
夜間は、赤筋を引いているので、よく分かりました。
萱嶋氏は、気味が悪いと感じました。

 この時、艦橋から、「探照灯用意」の号令が
かかりました。萱嶋氏は、照射の指揮官でも
あるので、反応しました。しかし、敵との距離は
10kmも離れており、探照灯を照らしても、
敵に届くわけありませんでした。

 しかも、探照灯をつければ、自分たちは
目がくらむのに対し、敵は、正確に那智の
位置を掴むことができるようになります。
萱嶋氏は、以上の理由から、探照灯の
照射に反対し、司令部を納得させました。

 しかし、探照灯を使わないということは、
無照射射撃、文字通り、闇夜に鉄砲と
なります。


紹介書籍:重巡「最上」出撃せよ
著者: 「矢矧」井上芳太、「那智」萱嶋浩一、「熊野」左近允尚敏、最上:曾禰章、「五十鈴、摩耶」井上団平
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巡洋艦那智 警戒心ゼロ [巡洋艦那智]

 敵の不意打ちを受け、ひたすら戦備に
急がせながら、スタコラと尻に帆をかけて
逃走しました。

 笑い事ではないものの、まさに、「笑止」と
いうほか、ありませんでした。缶は2機しか
動いておらず、砲塔は、動力電力が
きておらず、発砲することも
できませんでした。

 警戒心ゼロと言われても、致し方ない
有様でした。今は、準備ができるまで、
敵から離れようという考え以外
ありませんでした。

 幸い、敵は、那智と羽黒が完全にストップ
していたとは思ってもみなかったようで、
弾着は、ことごとく艦首付近になって
いました。

 しばらく逃げて、ようやく準備ができましたが、
肝心の敵がどこにいるのかわからなくなりました。
敵は、絶好のチャンスを掴んでいなら、なぜか
途中で反転し、南下していきました。

 那智と羽黒は、北上していたので、両軍は、
しばらく離隔を続けていました。その後、
針路を変えて、探しましたが、2時間
経過しても、見つからず、焦りが
加わって、心配が大きくなって
きました。

 那智の任務は、船団の護衛なので、
敵艦隊を近づけないように、厳重なる
警戒を続けていました。そこに、ドールマン
少将率いる敵艦隊が、引き換えしてきました。

 敵艦隊は、この時、駆逐艦は魚雷を、
使い果たしており、燃料も少ないという
ことで、スラバヤに帰投していました。

 他の駆逐艦も、味方の機雷にかかって
沈没したり、この駆逐艦の救助に駆り
出されたりで、艦隊は巡洋艦4隻だけ
でした。


紹介書籍:重巡「最上」出撃せよ
著者: 「矢矧」井上芳太、「那智」萱嶋浩一、「熊野」左近允尚敏、最上:曾禰章、「五十鈴、摩耶」井上団平
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