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巡洋艦大淀 トイレは? [巡洋艦大淀]

 海軍では、班長や、下士官、古参の兵長、 自分より上級者、1日でも早く海軍に入った者 には、礼儀を尽くさなければなりませんでした。 これらも、筥崎丸で、小野兵曹や他の人達から 教わっていました。  上級者の靴を磨くにも、艦内では、軍靴を 履く機会はあまりないので、カビが出ないように 靴の底にも靴墨をつけて磨くようにと教えてくれた 人がいました。  小淵氏は、大淀に転任してから、まごついて ばかりでした。艦内の配置がわからず、トイレに 行くこともできませんでした。しかし、居住区には、 兵長や下士官ばかりで、若い兵の姿がありません でした。  人の良さそうな兵長を見つけ尋ねると、笑い出し、 鈴木一水に案内するように言いつけました。鈴木 一水は、先程分隊士が連れてきた通路と反対側に 行き、烹炊所や食器消毒室を教えてくれました。  狭い通路になったところを通る時、鈴木一水は、 キャラメルの包み紙を見つけ、拾ってポケットに 入れました。「ここから、あそこまでが、ニ分隊の 受持甲板です。さっき、甲板掃除したばかり なのです。」と教えてくれました。  床は鏡のように磨き上げられ、二人の姿が 写っていました。この大淀の艦内は、小淵氏の 予想をはるかに超えて清麗そのものでした。  通路を出ると、やや広くなった所があり、 上甲板に通じるタラップがありました。それを 登ったところに、兵員用のトイレがあり、溝に 海水が流れていました。  大便所は、一個ずつ区割りされており、 練習艦春日と違い、立派なものでした。 紹介書籍:“巡洋艦「大淀」16歳の海戦 少年水兵の太平洋戦争” 著者: 小淵 守男
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巡洋艦大淀 転勤の挨拶 [巡洋艦大淀]

 申告後に、爆笑され、た小淵氏に、 「オイ坊や。そっちはよその分隊だ。 お前さんの分隊はこっちだよ。」という 声が上がり、再び大爆笑となりました。  転勤の挨拶を済ませることができ、 小淵氏はホッとしました。転勤の挨拶は、 タイミングが難しいものでした。  本来は、食事の時に全員集まるので、 その時にするようにと言われていますが、 今回、夕食後でしたので、翌朝まで待つ というわけにも、いきませんでした。  食事中に挨拶にしても、大声を張り 上げて挨拶すると、誰も箸を置き、食事を 中止して聴くのが海軍の作法になって いました。  軍艦内には、古参の下士官や、歴戦の 勇士がいるので、挨拶時は、下座に 立ちます。  最初は静かに、「ご食事中誠に申し訳 ありませんが、ご食事しながら御聞き ください。」と言ってから申告します。  この時、着任しましたなどと言おうものなら、 あごが飛ばされることになります。着任は、 士官以上が使う言葉で、下士官は転勤か 転任でした。  さらに、謙虚に「何もできませんが・・」と言おう ものなら、「何もできないものは、艦にいらない」と 言われてしまいます。難しいものでした。  小淵氏は、筥崎丸で、これらのことを教えて もらっており、良い教訓になったとしています。  小淵氏のところに、小柄な一等水兵が来ました。 鈴木一水だと自己紹介を受け、居住区に並べてある ロッカーを一つ明けてくれました。  小淵氏は、二種軍装を脱ぎ、事業服に着替え、 身の回り品を、ロッカーに移しました。艦内の人達は、 若草色の防暑服でした。 紹介書籍:“巡洋艦「大淀」16歳の海戦 少年水兵の太平洋戦争” 著者: 小淵 守男
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