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巡洋艦大淀 対空戦闘終了 [巡洋艦大淀]

 砲術長の命令で、主砲は、演習弾を込めて 砲撃を再開し、それを撃ちつくすと、徹甲弾を 撃ってきました。6個の弾丸がまとまって 飛ぶので、かなり効果はありました。  効果がなくても、撃たずにはいられません でした。撃つことによる乗組員の士気を保つ ことができました。というのは、対空弾がなく なったことは、主砲関係者以外知りようが ないからでした。  そして主砲は、絶えず咆哮しました。 そのためか、敵機は近づかなくなりました。 やがて、時々しか撃たなくなった機銃の 発射音も止み、断続していた高角砲の 咆哮も途切れがちになりました。  主砲も襲撃の様子のある敵機にのみ 発砲しまるが、それも次第に少なくなり ました。敵機は退散中でした。  「砲撃はじめ」から1時間余り。今まで 激しく襲撃し続けていた敵機も急に引き揚げて しまいました。やがて、砲撃止めが号令され ました。  しかし、1時間あまりも襲撃があった ということは、敵の機動部隊が間近にいる という証拠でした。  再度の襲撃に備えて、そのまま待機が 命じられました。配置についたまま、次の 号令を待っていましたが、敵機が襲撃して くる様子はありませんでした。そのため、 退屈しのぎに、発令所内では、おしゃべりが 始まりました。  「至近弾にはびっくりしたな」「顔が真っ青 だったぞ」「あれが地獄の一丁目というのだろう」 「小便漏らさなかったか」などと話し、発令所内に 大爆笑が起きました。  そして、「対空戦闘終わり。用具納め。」の 号令がありました。 紹介書籍:“巡洋艦「大淀」16歳の海戦 少年水兵の太平洋戦争” 著者: 小淵 守男
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