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巡洋艦大淀 対空戦闘の爪痕 [巡洋艦大淀]

 小淵氏は、改めて対空戦闘の爪痕を見て、 驚きました。主砲発令所にいた小淵氏は、 敵機が、機銃掃射をしていたことに、全く 気づきませんでした。  しかし、甲板上の内火艇は、いくつもの 穴があり、居住区のロッカーからは、敵機の 銃弾が出てきました。  薄い鉄板でできている箇所は、13mm 機銃弾でも貫通していました。甲板上には、 至近弾の破片がかなり散乱していました。  さらに、煙突のすぐ近くにある掃除用具の 倉庫から、50kg爆弾の不発弾が見つけ出され ました。主砲弾とほぼ同じ位の大きさでしたが、 戦闘中は、命中したことさえ気づきませんでした。  この不発弾は、中の炸薬を取り除き、艦内の 大淀神社の脇に飾られました。  106機もの大編隊を一挙に繰り出して来襲した 敵は、あまりにも甚大な損害に、再度の来襲を ためらったのか、その後は一機も来ませんでした。  この頃は、精巧な電探を搭載した敵潜水艦が 網を張っているので、すぐに探知され、攻撃が 準備されるということでした。大淀らもトラック島を 出撃した時から、探知されていたと思われます。  速力のない艦なら、カビエンにつく前に 襲撃され、陸軍部隊を無事輸送することは できなかったかも知れませんでした。  大淀らにしても、10分遅かったら、どう なっていたかと、思えば鳥肌が立つ 危機一髪の大淀の功績でした。  小淵氏は、見張り当直で、防空指揮所に登り、 左舷の双眼鏡につきました。そこで、「敵機なんか 怖くないぞ。どんあに来ても大淀は負けないぞ。」と、 大空に向かって、精一杯の声を張り上げたい衝動に 駆られました。 紹介書籍:“巡洋艦「大淀」16歳の海戦 少年水兵の太平洋戦争” 著者: 小淵 守男
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巡洋艦大淀 砲身の赤錆 [巡洋艦大淀]

 戦闘が終わり、発令所は、下士官5名が 残り、他の者は、甲板上の片付けが命令 されました。  上甲板に上がると、強烈な陽光が肌を 刺しました。発令所は冷房がありましたが、 甲板上は、赤道直下の真昼でした。  空は青く、ちぎれ雲がわずかに浮かんで いました。後方に薄白くたなびいている 硝煙が、激しかった対空戦闘をかすかに 物語っていましたが、洋上は何事も なかったように静まり返っていました。  小淵氏は、主砲塔に行きましたが、ここは 手が足りているので、後甲板を片付ける ようにと、言われました。  主砲の砲身は、猛烈な連射のため焼け ただれ、塗料はほとんど燃え落ちていました。 高角砲の長い砲身も同様で、赤錆が出て いました。焼けたところへ、海水をかぶった ことによる影響でした。  甲板上は、大した散乱物もなく、すぐに 片付け終わりました。一発の直撃弾も受けな かった大淀は、元の姿のままでした。  そして、快速で北上していました。ただ、 大淀からは、2名の戦死者が出ていました。 至近弾の破片を受けた者と、敵の銃撃を 受けた者でした。  僚艦の能代はだいぶ遅れおり、右に20度近く 傾いていました。大淀は、一路トラック島に 目指して突っ走っていました。一刻も早く、 敵の航空圏から離脱する必要がありました。  遅れてくる能代の左右に、駆逐艦2隻が 寄り添って航行していました。2隻も無事な ようでしたが、山雲は至近弾や銃撃で 貫通された艦腹を、木栓で数十箇所 補修したということでした。 紹介書籍:“巡洋艦「大淀」16歳の海戦 少年水兵の太平洋戦争” 著者: 小淵 守男
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