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巡洋艦大淀 戦闘ラッパ [巡洋艦大淀]

 揚陸の後片付けは、運用科に任せ、 戦闘分隊は、急いで配置につきました。  小淵氏が主砲発令所に飛び込むのと 同時に、勇壮なラッパが鳴り響きました。 小淵氏にとって生まれてはじめて聞く 戦闘ラッパでした。  戦闘ラッパで、全身に電流を通された ような衝撃を受け、血潮はいやがうえにも 躍動しました。  大淀は、仮泊するとただちに、 主要戦闘配置には、ベテランを配置に つかせていたので、すでに測距は 開始されていました。  方位盤も敵機の先頭集団を補足し、 射撃盤も電動機が発動されて、敵機の 動きを追っていました。  砲塔も準備万端整い、発砲体制は できました。大淀は、秋月、山雲らと 一緒に北上しました。この頃、能代は やっと動き出しました。  刻々と通報されるトップ伝令と発令所 伝令のやり取りに耳を傾けながら、各自が テキパキ任務を遂行していました。6m 測距儀と8m測距儀から次々と敵機の 距離が測距に距離を送り込んでいました。  大淀の主砲射撃系統は、すでに敵機を 完全に補足し、射撃盤は敵機の動きを 完全に噛み砕いていました。小淵氏は、 発令所の雑用員として任務に当たって いました。  上曹から、「自速計はいくつだ。」と、 質問され、「35ノットです」と、返答すると、 「だいぶ早い逃げ足だな」と返答があり、 緊張していた発令所員に、ほっとした 微笑が浮かびました。  小淵氏の体感では、発令所についてから だいぶ長い時間経過したように感じて いましたが、極度に緊張していたためだと 考えました。 紹介書籍:“巡洋艦「大淀」16歳の海戦 少年水兵の太平洋戦争” 著者: 小淵 守男
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巡洋艦大淀 揚陸完了 [巡洋艦大淀]

 大淀が到着したのは、カビエンでした。 入り江からは高い山は見えず、基地も 椰子の木に隠れ、見えませんでした。  舟艇が戻って行く辺りに、桟橋が 見えましたが、港湾らしい設備は ありませんでした。  舟艇は、桟橋で荷物を積み降ろすと、 すぐに引き返してきました。そして野砲や 重機、弾薬など各種の戦略物資を 積み込んで、桟橋に戻っていきました。  大淀と能代が、二日がかりで積み込んだ 荷物なので、かなりの量でした。艦のまわりに 舟艇が群がって積荷をさばいていましたが、 まだだいぶ残っていました。  作業が開始されてから4時間位 経過した頃、思いがけないことが おきました。敵機の来襲でした。  「揚陸作業急げ。出向用意。」の号令が かかりました。「敵機大編隊。106機。 東方上空に出現。距離5万m。」という 報告がありました。  小淵氏は、信じがたいほど遠距離での 発見だと感じました。見張り用12cm双眼鏡で 注視しても、ゴマ粒くらいにしか見えない 距離でした。肉眼では、何の変化もない 青空でした。  発見者は正規見張員の兵曹で、双眼鏡の ゴミかと思って拭いてもとれず凝視していて 発見したということでした。各艦に通報 しましたが、能代は気づきませんでした。 発光信号を送り、ようやく気づいてもらえました。  大淀は、静かな湾内に波をかき立て はじめました。海面に、波紋が広がり、 静かに動き出した大淀には、野砲が 吊り下げられたままでした。  近づいてきた舟艇に降ろされ、残った 物資は、舟艇に投げ込まれ、かろうじて 陸揚げは完了しました。 紹介書籍:“巡洋艦「大淀」16歳の海戦 少年水兵の太平洋戦争” 著者: 小淵 守男
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