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巡洋艦大淀 総員起こし前の行動 [巡洋艦大淀]

 「総員起こし15分前」。艦内の スピーカーから静かな号令が 流れました。  まだ太陽が昇っていない時刻で、 疲れて眠りこけている者を、そっと ゆり起こし、素早く身支度を整え、 「総員起こし」の用意をしました。  これをしているのは、一水や上水で、 兵長以下はぐっすり寝込んでいました。 逆に、15分前の号令で起き出している のを、甲板士官に見つかると、うるさいことに なるので、気をつける必要がありました。  やがて、「総員起こし5分前」の号令が かかりました。次に、起床ラッパが、高らかに 鳴り響いてきました。これが、1日の活動を 始める最初のラッパでした。  大淀の居住区は、鉄パイプを4本建て、 そこに寝台を3段にはめ込み、まわりに 網を張ったものが使われていました。  寝台を格納する時は、5枚くらい重ねて 天井に押し上げ、金具で止め、支柱は 抜き取って居住区隅の格納所に 納めました。  吊床も20個ぐらいあり、古い下士官は、 ベッドより、吊床で寝る者が多いのが 実情でした。長年慣れ親しんだ吊床の 方が、寝心地がいいようでした。  「総員起こし」の号令で、これらの寝具を 素早く片付けるのは、下級兵の役目でした。 15分前の起床で、動い始めるのは、そうして おかないと、時間をくうからでした。  寝台を納め終わる頃には、吊床の下士官も 起きるので、それを素早く括って、格納しました。 終わると、居住区の床を掃除して、食卓や 腰掛けなどを整頓しました。  総員起こしの15分後には、「訓練戦闘」の ラッパが鳴り響き、総員が配置について 訓練が行われる頃、太陽がのぼり 始めました。 紹介書籍:“巡洋艦「大淀」16歳の海戦 少年水兵の太平洋戦争” 著者: 小淵 守男
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巡洋艦大淀 激しい戦闘訓練の実態 [巡洋艦大淀]

 毎日激しい戦闘訓練が続けられましたが、 機械化が進んでいる軍艦で、重労働となるのは 一部の配置の人だけでした。  重労働となる配置の一つは、高角砲の 装填手でした。発射速度がはやいので、 重労働となります。次が、主砲弾を扱って いる者と、主砲の一番砲塔手が、かなり 体力を必要とする配置でした。  小淵氏が所属する二分隊は、方位盤、 電探、測距儀、探照灯などを扱うので、 肉体的な労働にはなりませんでした。 射撃盤手は、腰掛けて作業できましたし、 室内には冷房が効いているので、快適 でした。  及川少尉が、砲術士として配置について いましたが、よく居眠りをしていました。 号令官が一切を仕切っているので、 訓練中は、砲術士がすることはあまりなく、 戦闘訓練はむしろ息抜きになっていました。  むしろ、戦闘訓練以外の日課の方が 厳しく、辛いものとなりました。下っ端の兵は、 コマネズミのように艦内を駆け回っている 必要がありました。  艦隊勤務の厳しさは、海兵団当初から 聞いていましたが、想像通りでした。そして、 艦船での勤務は完璧を求められました。 小さなミスも一艦の命取りになりかねません でした。  艦船に乗り込んでいる者は、帝国海軍の 代表的兵士なので、充分な自覚を持って 行動しなければならないと、体に叩き 込まれました。  艦隊勤務は、下の歌の通りでした。 「朝だ夜明けだ潮のしぶき/うんと吸い込む赤銅色の/  胸に若さのみなぎる血潮/海の男子の艦隊勤務/月月火水木木金金」 紹介書籍:“巡洋艦「大淀」16歳の海戦 少年水兵の太平洋戦争” 著者: 小淵 守男
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