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巡洋艦大淀 ミンドロ島を目指す [巡洋艦大淀]

 突入艦隊が目指すサンホセ港は、ミンドロ島の 南端西部にある港で、そこに大挙して上陸した 敵は、港内に多数の艦船を集結させており、 すでに飛行場の建設もはじめているという 情報でした。  突入艦隊は、清霜を先頭に、大淀、足柄と続き、 右に朝霜、左に霞と並び、後方を、杉、樫、榧が 固めての陣形でした。この東進は、敵に突入の 意図を察知されないための迂回航路でした。  日没後変針した艦隊は、そこからミンドロ島を 目指して南下を始めました。まだ、敵に発見された 様子もなく、その夜も順調な進撃が続きました。  明けて12月26日の夜半にに港内に突入 という予定でした。進撃する洋上は、次第に 雲に覆われ、陽光はすっかり遮られて しまいました。  昼近く雲の上から爆音がしました。すぐに 配置につけが号令されましたが、敵機の 襲撃はありませんでした。  その後、再び敵大型機らしい爆音が轟き、 バラバラと爆弾が投下されました。上空は 密雲に覆われ強風が吹きすさみました。 しかし、快速で進撃する艦隊からだいぶ 外れていました。  午後3時少し過ぎ、突如密雲を突き破って 双発双胴の敵機が舞い降り、急襲して きました。見る間に急上昇して、雲の中に 飛び込んで行きました。  続いてまた一機、海面スレスレまで降下し 大きく円を画くように、艦隊のまわりを飛行し、 これも急上昇して雲の中にかき消えてしまい ました。密雲が隠れ蓑になり、素早い敵機の 動きに、主砲も高角砲も発砲する暇が ありませんでした。  敵機は次第に大胆になっていき、海面 スレスレに艦隊の周囲を飛び始めました。 紹介書籍:“巡洋艦「大淀」16歳の海戦 少年水兵の太平洋戦争” 著者: 小淵 守男
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巡洋艦大淀 カムラン湾を出撃 [巡洋艦大淀]

 作戦の決定が知らされたのは、12月20日の ことでした。  しかし、全ての艦が参加するわけではない という噂が立っていました。この噂を聞いた 小淵氏は、大淀が一番先に選ばれることを 信じていました。それは、大淀全ての 乗組員がそう思っていました。  夜になって、作戦に参加する艦の発表が ありました。それは、足柄、大淀、清霜、朝霜、 霞、杉、樫、榧(かや)の8隻でした。行き先は、 ミンドロ島のサンホセ港でした。小淵氏は、 血湧き肉踊る感激を覚えたとしています。  「今度は生還の望みがない作戦だ」と 言われていましたが、軍人として遅かれ 早かれ死ななければならない身であって みれば、このような突入戦で華々しく 砕け散ることこそ、男子の本懐でだと 考えていました。  12月22日早朝、サン・ジャック港外より 出港した艦隊は、再度カムラン湾に向かい ました。途中どのような航路を進んだのか 分かりませんでしたが、かなり迂回した らしく、カムラン湾に入ったのは、23日の 昼近くでした。  翌日は、同行の駆逐艦に重油を補給したり、 戦闘準備を整えていました。そして、ちょうど 2年前のこの日、小淵氏が大淀にはじめて 乗り組んだ日でもありました。  小淵氏は、2年前に乗り組んだ時も、大淀は 出撃準備中だったと思いだしていました。 12月25日、日の出とともに、いよいよ出撃の ときが来ました。伊勢や日向などが後方 支援隊として残るカムラン湾を、突入艦隊の 諸艦は、出港ラッパの響きも高らかに 出撃しました。 紹介書籍:“巡洋艦「大淀」16歳の海戦 少年水兵の太平洋戦争” 著者: 小淵 守男
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