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巡洋艦大淀 庄司分隊士の注意事項 [巡洋艦大淀]

 庄司分隊士は、演習前に空砲でも危険 なことを、たとえ話で注意を与えてくれました。 東北なまりのユーモアを交えた話しぶりに、 分隊員は笑いながらその注意を頭の中に 焼き付けていきました。  「ある演習で、両軍が空砲を撃ち ながら進撃して行くと、眼の前に鉄の 棒がピューンと飛んできて、突き刺さり ました。びっくりしてその兵隊さんは、 腰を抜かしてしまった。  これは銃の手入れをした柵杖が 銃身に入ったままなのを知らずに 発砲したためであり、本当に危ない ことだ。  空砲といっても威力のあるものなのだから、 銃身の中に小石や砂などが入らないよう 十分注意しなさい。それと、接近してからは、 絶対に発砲してはいけない。空砲を顔に 受けた新兵さんが失明してしまった例も ある。」というものでした。  夜間演習が終わり、宿舎に戻ると、夜食が 出されました。夜食など口にしたことはないので、 みな、大喜びでたいらげました。  明くる日の午前中は分隊ごとに分かれての 演習が展開されました。各教班単位で傘形 散開の進撃や、各種の攻撃方法を組み 入れての演習で、相変わらず砂っぱらを 駆けたり、伏せったりの連続でした。  三日目ともなると、誰もかなり疲労している はずでしたが、落伍者もなく元気溌剌として いました。やがtれ昼食になり一時間ほどの 休憩がありました。  この演習中は上天気で、日差しも強烈でした。 気温はぐんぐん上がり、真夏のような熱気が 砂浜を覆っていました。事業服は汗と砂埃に まみれ、灰色になっており、純白の服も見る 影もありませんでした。やがて集合ラッパが 鳴り響きました。 紹介書籍:“巡洋艦「大淀」16歳の海戦 少年水兵の太平洋戦争” 著者: 小淵 守男
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巡洋艦大淀 遭遇戦と夜間演習 [巡洋艦大淀]

 遭遇戦は、一日中砂原を駆け巡り、松の 根っこにつまずいたり、溝に踏み込んだりの末、 やっとのことで両軍が相対しました。  匍匐前進で距離をジリジリつめていくと、 突撃のラッパが鳴り響きました。砂原に 1400余名のあげる大喚声が轟き、 砂塵を巻き上げて激突しました。  「本日の演習は、元気があってよろしい。 一件の事故もなかったことはさすがである。」 という簡潔な査閲官の講評があり、昼の 演習は、終了しました。  宿舎に引き揚げ、早目の夕食を済ませると、 引き続いて夜間の襲撃演習が行われました。 これは、教班単位である目標まで隠密裏に 接近するもので、民家の影に隠れたり、 田のヘリを匍匐したりして進みました。  にぎやかに鳴いている蛙が鳴き止まない ように、という注意だが、蛙は鳴き止んで しまいました。もっと始末に悪いのは、 アヒルや犬で、鳴かれたり、突然 吠えられたりしたので、笑いを こらえるのに苦しみました。  やがて所定の場所に集合した11分隊は、 横隊になって無言の突撃に移りました。 夜間は喚声を上げてはいけません でした。  陸戦に詳しい庄司分隊士は、ユーモアを 交えての訓話を行いました。「闇夜に鉄砲と いうことがあるように、あまり当たるものでは ないからできるだけ横に広がって突撃 するのだ。  こわがって固まっていると、闇夜でもあたるぞ。」 と言って、先頭に立ち、低い掛け声をかけながら 突進しました。  庄司分隊士は、ユーモアのある人で、この 演習が始まる前もユーモアを交えた注意を 与えていました。 紹介書籍:“巡洋艦「大淀」16歳の海戦 少年水兵の太平洋戦争” 著者: 小淵 守男
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