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巡洋艦大淀 入浴訓練 [巡洋艦大淀]

 入浴も訓練であることは、湯船に入る 方法が決められていることからも言えました。  「入れ」の号令で、前から順番に入ります。 この時、手ぬぐいは、浴槽内に入れることは 厳禁なので、石鹸を手ぬぐいに包んで 鉢巻きにしていました。  全員が入り終わると、「あがれ」の号令が かかりました。前の方から順に這い上がり ました。湯が熱かろうが、ぬるかろうが、 号令通りに行動しなければなりません でした。  洗い場に上がり、石鹸をつけて体を 洗い終わると、前と同じように、浴槽に つかりました。ゆっくり入っていたいと 思っても、号令一つで出なければ なりませんでした。  上がり湯で体を洗い流すと、急いで 衣服を着けました。これで入浴は 終わります。  これも訓練の一環であり、気を緩める ことはできませんでした。浴場から駆け足で 上がると、数名の者が、普通学教員から 呼び出され、胃嚢を頭上に差し上げる 罰直を受けていました。  彼らは、胃嚢を棚に納めず、出しっぱなしに していました。どんな理由があっても、自分の 物は、きちんと整理して置かなければ ならないのが、軍隊でした。  棚に入れるのに、10秒とかからないのに、 この少しの労力を惜しんだための罰でした。 疲れ切っているところに、このきつい罰直は、 惜しんだ手間の何倍もの労力を消耗する 結果になりました。 紹介書籍:“巡洋艦「大淀」16歳の海戦 少年水兵の太平洋戦争” 著者: 小淵 守男
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巡洋艦大淀 追撃戦終了 [巡洋艦大淀]

 疲れ切って覇気のない軍歌を歌っていると、 庄司分隊士が、「もっと元気よく。二手に分かれて 歌う。前の方、イチ・ニ・サン・ハイ。」と気合を かけました。  前組が一節歌うと、後組が同じように歌う。 その声が小さいので、「元気がない。」と 教班長たちの叱咤が飛びました。  前後に別れての対抗意識が出てくると、 歌声も次第に大きくなり、疲れもその軍歌の 中に消えるようでした。  しかし、歌ったと言うより、怒鳴ったの方が、 近い状態でした。歌いながらの行進は、次第に 疲労を癒やしてくれました。  海兵団に着き、練兵場に整列した練習兵は、 この演習が非常に良い出来であったと 褒められました。  最後の追撃戦でも、落伍者が予想以上に 少なかったのは、日頃の鍛錬の成果であると 言われました。入団以来9ヶ月、鍛えられて 心身に一本の筋金が入り、それが次第に 強靭なものに育ちつつありました。  このご夕食となり、着替えをして入浴する ことを許可されました。着ていたものは、 汗が乾き塩を吹いていました。  入浴はだいぶ忙しく、各隊ごとに時間が 割り当てられていました。脱衣所で裸になり、 大急ぎで洗い場に飛び込み体を洗いました。  すると、すぐに集合がかかり、大きな浴槽の 端に並ばされ、「入れ」の号令で前の方から 順々に浴槽に入ると、首だけだして前進 しました。  入浴も訓練だったと言えます。 (追記)  上記の追撃戦で、予備学生分隊から死者が 出ていました。この事実からしても、非常に良い 出来とは言えないと感じます。  兵隊を消耗品と勘違いしているような軍隊は、 まともな組織とは言えません。 紹介書籍:“巡洋艦「大淀」16歳の海戦 少年水兵の太平洋戦争” 著者: 小淵 守男
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