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巡洋艦大淀 測距 [巡洋艦大淀]

 砲塔は、射手盤と旋回盤の赤針と白針を 重ねておけば、同じように目標に向けることが できます。  これに、距離、風向、風速、艦の速度、地球の 自転による偏差など、あらゆるデータが計算され、 砲塔の射手盤と旋回盤の赤針に加えられます。  測的術幹部班は、別名電気幹部と言われる ほど、取り扱う兵器は、電気系統が非常に複雑に 入り組んだものでした。この電路をたどるのが、 重要な教課となっていました。  しかし、実物を知らない小淵氏らは、この 系統を呑み込む事ができませんでした。 電路図に画かれた何十本もの線が、どこを 通ってどうなるのか、懸命に覚えようとしましたが、 射撃盤や方位盤は秘密兵器なので、つぶさに 知る事はできませんでした。  測距も、幹部班には重要な教課でした。 測距儀の原理は、動物が2つの眼によって、 見るものの遠近を知る方法の応用でした。左右の 眼球と、目標物は線で結ぶと三角形になります。  左右の眼を底辺とすると、目標の遠近に よって、視線の角度が変わってきます。この 角度の変化を、距離に当てはめたものが 測距儀でした。  測距儀は、細長い一本の筒の両端に、対物 レンズのある双眼鏡のようなもので、左の対物 レンズを固定し、右の対物レンズのみが左右の 角度を変えられるようになっていました。  測距儀は、視野は円形で、下半分が左眼、 上半分が右眼の視野となっています。距離が合わないと、 像がずれるので、ハンドルで調整して合わせます。これに より、距離を測定します。 紹介書籍:“巡洋艦「大淀」16歳の海戦 少年水兵の太平洋戦争” 著者: 小淵 守男
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巡洋艦大淀 測的術幹部班 [巡洋艦大淀]

 その小野沢兵曹が、日曜日になって、 小淵氏に面会してきました。  当直舷で校内の作業中に呼び出しがあり、 行ってみると、面会所に小野沢兵曹がいました。 見た所、だいぶ日焼けしており、元気そうでした。 小野沢兵曹は、第二期練習兵の事務関係を 担当しているということを、聞いていました。  この情報をくれたのは、海兵団卒業間近に 胸膜炎にかかり入院した友人の戸谷一水 でした。戸谷一水は、1ヶ月くらいで退院し、 海兵団に残って、小野沢兵曹の一緒に 二期兵の世話をしていました。  小淵氏は、戸谷一水はどうしているか たずねると、数日前に電測学校に入校した ということでした。1時間の面会時間が終わり かけたので、「またくるからね。」と言い残して、 小野沢兵曹は、薄暗いトンネルの中に、 消えていきました。  小淵氏が所属している測的術幹部班という のは、軍艦の砲術系統を人間にたとえると、 神経系統に当たる部署となります。砲塔が 手足、測距儀や方位盤が眼、射撃盤が 頭脳に相当します。それらを結ぶ電気系統を 担当する部署でした。  方位盤や、射撃盤は、複雑な電路が入り 組んでいる兵器です。方位盤は、巨大な 双眼鏡で、双眼鏡が動くことで、射撃盤が 電気的に全ての事象を計算して、砲塔に 伝えました。  砲塔には、射手盤と旋回盤とがあり、その中に 赤針と白針があり、赤針は方位盤の動きを伝え、 射手盤の赤針は上下の傾角を示し、旋回盤の 赤針は、左右の動きを示します。  白針はハンドルを回すことによって動き、 ハンドルは砲を動かしていました。 紹介書籍:“巡洋艦「大淀」16歳の海戦 少年水兵の太平洋戦争” 著者: 小淵 守男
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