SSブログ

巡洋艦大淀 鯛すくい作戦 [巡洋艦大淀]

 大淀は、今まで一度も使用したことの ない、爆雷の試射を行いました。  投下6秒後、海面に電波のような 衝撃波が走り、ズシンとにぶい響きを 立てて、艦が震動しました。そして、 海面が小山のように盛り上がりました。  大淀は、海面が盛り上がった箇所を 中心に、旋回し始めました。一巡し魚を 確認しましたが、一匹も浮かんできません でした。  大淀の乗員は頭をひねりました。通常、 爆雷を使えば、雑魚の数匹はあがり、 場合によっては、クジラも浮かんで きました。  大淀は、二巡目に入りました。すると、 白い腹を見せて、大小の魚が浮き始め ました。甲板上では歓声が上がりました。 艦を停止させ、カッターと内火艇を降ろし ました。  「鯛すくい作戦」と名付けられ、魚とりが 始まりました。小淵氏は甲板にいましたが、 ここからでは、すくうことはできませんでした。 内火艇やカッターで面白そうにすくって いるのを、指を加えて眺めているしか、 ありませんでした。  作戦は20分ぐらい続けられ、すべての 魚を拾い上げました。「戦闘終わり。用具納め。」 の号令がかかり、内火艇とカッターを素早く 吊り上げ、戦利品は烹炊所に持っていきました。  とれた魚は、作戦名通り大半が鯛でした。 この時、3尺もあるような大物も含まれており、 この内の2匹は、後に、小沢治三郎中将に 贈られました。  夕食は、鯛の刺身と鯛汁でしたが、大量と 思えた割には、出た量はあまりありません でした。刺し身は5切れぐらいで、汁は、 骨だらけでした。しかもこれで全部だった ようで、翌日以降出ることはありませんでした。 紹介書籍:“巡洋艦「大淀」16歳の海戦 少年水兵の太平洋戦争” 著者: 小淵 守男
nice!(0)  コメント(0) 

巡洋艦大淀 瀬戸内海を進む [巡洋艦大淀]

 艦の模型に納められた御賽銭は、軍艦大淀と 描かれたのぼりを立てて、海に浮かべられました。 近くの漁船が、争って拾いあげられました。  軍艦が、この付近を航行する時、昔から このように護り神に祈願するということでした。 艦の模型と御賽銭は、拾った漁船が、 金毘羅様に奉納してくれました。  瀬戸内海を進んでいる艦は、池の中を 走っているような感じでした。緑の美しい 大小の島が散在し、前後左右を取り 巻いていました。  その島々を縫って進むと、次々に 素晴らしい風景が展開され、夢の中に 誘い込まれるような想いでした。こんな時の 見張りは、本当に役得でした。  危険海域ではないので、自分の受け持ち 角度以外の場所も見張りました。この時、 小淵氏は、艦橋で見張りをしていました。  艦橋には、砲術長と航海長兼副長が来て いました。一次室士官も昇ってきて、瀬戸内海の 景色をあかず眺めて、いました。この時、昇って きた士官の一人が、小淵氏の見張りを、 交代してくれました。  副長が、砲術長に、この辺りで爆雷の試射を したらどうかと提案し、砲術長も試してみようと いうことになりました。この後、小淵氏は、見張り 当直を終え、居住区に戻ると、みんな懸命に 漁すくいの網を作っていました。  爆雷の試射は、魚とりも兼ねているという ことです。カッターや内火艇も、降ろす準備を していました。しばらく進み、漁船のいない 広々としたところに出ました。そこで試射が 行われることになり、艦尾から爆雷が 投下されました。 紹介書籍:“巡洋艦「大淀」16歳の海戦 少年水兵の太平洋戦争” 著者: 小淵 守男
nice!(0)  コメント(0) 

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。