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巡洋艦大淀 第二波来襲 [巡洋艦大淀]

 四苦八苦しながら、短艇に乗員が乗り込み、 降ろし始めた時に、敵機来襲という通報が なされました。  第二波の来襲でした。続いて、対空戦闘を 告げるラッパが高らかに鳴り渡りました。 小淵氏らは、大急ぎで短艇を元の位置に 戻して固定し、各自の戦闘配置に駆け 込みました。  小淵氏が配置についたときには、射撃盤の 電動機はすでに発動しており、こころよい 響きを立てていました。発令所に残った 人達だけで、主砲発令所は、対空戦闘 準備よしになっていました。  やがて、艦内スピーカーから、「敵機80機 来襲。距離3万m」という歯切れのよい声が 伝わってきました。  迎撃態勢万全の大淀は、再び高速で 航行を開始し、旗艦の瑞鶴の周囲を 巡りながら、砲撃開始を待ちました。 瑞鶴は、持てる速力の22ノットで、 懸命に北上を続けていました。  第二波は、80機と報告されました。 これくらいの数は、恐れることはありません でした。発令所員は、みな冷静に各自の 任務に取り組んでいました。  敵機との距離が17kmまで縮まりましたが、 砲撃はじめの号令はされませんでした。 全員に気迫がみなぎり、沈黙が続きました。  射撃盤の電動機が、こころよいリズムを 奏でていました。舷側をかすめる潮鳴りが、 背筋に伝わってきました。  敵機との距離が15kmになった時、 「砲撃はじめ」の命令があり、発射用意の 最後の長いズザー音がなった時、主砲が 再度咆哮を開始しました。  続いて、高角砲も、射程内の敵機を 捕捉して速射を始めました。 紹介書籍:“巡洋艦「大淀」16歳の海戦 少年水兵の太平洋戦争” 著者: 小淵 守男
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巡洋艦大淀 旗艦移転準備 [巡洋艦大淀]

 小淵氏は、艦隊の他の艦がどうなっているか 見ました。  旗艦の瑞鶴は、傾きながら、左舷前方を航行 していました。瑞鶴は、初回の襲撃で、左舷後部に 雷撃を受け、「22ノットに速度を減ずる。」という 通報がありました。  瑞鶴は、飛行甲板にも直撃を受けているよう でした。もう1隻の空母瑞鳳も被弾して、はるか 後方で煙を吹き上げていました。小淵氏は、 もうやられてしまったのかというのが、 偽らざる感想でした。  千歳と千代田の姿は見えませんでした。これは、 艦隊を二分して、第二陣が20kmほど南にいたため でした。このため敵機も分散し、全体では100機ほど 来ていたようでした。  大淀は、予備旗艦の任務を帯びていたので、 第一波の襲撃で早くも損傷した瑞鶴を見て、 艦首脳部は、旗艦移転を決意しました。  上甲板で残物の整理をしていた小淵氏らに、 移転準備が命じられました。すぐさま、短艇や 梯子を降ろす準備にかかりましたが、厳重に 結束しており、すぐに降ろすことはできません でした。  各分隊から選ばれたボート部員も全員集合し、 一緒になって、件名の作業を続けました。 (追記)  戦闘中に旗艦が損傷したため、司令部が 移動するということは、過去に何度か紹介 しています。そのたびに、「無駄な作業」 という印象を受けます。  戦闘中、司令官は邪魔なだけであり、この 移動のために、戦闘要員が駆り出される というのは、不都合だと感じます。  ミッドウェー海戦で、艦長のみ戦死や 責任をとって、司令部が何のお咎めも なかったという点からしても、理不尽だと 感じます。  山口少将を見習って、艦長と一緒に 旗艦と運命をともにせよと言いたくなります。 紹介書籍:“巡洋艦「大淀」16歳の海戦 少年水兵の太平洋戦争” 著者: 小淵 守男
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