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巡洋艦大淀 初回の襲撃 [巡洋艦大淀]

 敵機との距離が、15kmになった時を 移さず、「砲撃はじめ」が号令されました。  艦内にこの号令を告げるラッパが鳴り響き、 発射用意のブザーが、最後の長くなる音に なると同時に、艦を揺さぶる轟音を発し、 主砲弾が一斉に発射されました。  続いてニ斉射目を発砲した時、「敵機は、 編成を解いて、各個に襲撃する態勢に 移った。」と、報告されました。主砲が、 三たび咆哮した後、高角砲も近づく 敵機に向かって、速射を始めました。  ものすごい音響が艦内に立ち込め、 大淀が激しく敵機に立ち向かっている さまが、全身に伝わってきました。大淀の 乗員は、50機ぐらいの敵機には、誰も 恐れませんでした。対空戦闘は、すでに 経験済みの者ばかりでした。  小淵氏は、100機以上来ると予想して いたので、50機というのが意外でした。  主砲や高角砲が発砲している合間に、 機銃の発射音も聞こえていましたが、 それもピタリと止みました。  初回の襲撃は30分ほどで終わりました。 発令所では、「大したことなかったな。」という 声が漏れました。  砲術長から、「発令所には、5人もいれば 良いので、残りは上甲板の片付けにいけ。」 という命令がありました。  小淵氏は、待ってましたとばかり、上甲板に 上がり機銃や高角砲の薬莢の片付けを手伝い ました。小淵氏は、外が見たいという衝動に かられていたので、砲術長の命令は 渡りに船でした。  敵機の去った上空は、最前までの砲火が 激しかったことを物語るように、無数の弾幕が たなびいていました。 紹介書籍:“巡洋艦「大淀」16歳の海戦 少年水兵の太平洋戦争” 著者: 小淵 守男
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巡洋艦大淀 ついに敵機発見 [巡洋艦大淀]

 明けて10月25日、小淵氏らは、配置に ついたまま、ぐっすりと眠り込んでいました。  昨夜は、色々にぎやかに論じていましたが、 一人、二人と居眠りを始めたので、上曹が 不寝番を決めて、残りには仮眠をさせて いました。  機動部隊は、全艦無事な姿で、朝日を 浴びながら静かに航行していました。 心配していた潜水艦の雷撃もなく、 穏やかな夜明けでした。  戦闘分隊の者は、天候を気にして いました。主砲や高角砲は、昨日のように 雲があると具合が悪いのですが、今日は、 対空戦闘日和と言えるほど、よく晴れて いました。  朝食の時間になり、半分が待機所で 休息し、半分が配置についていました。 太陽はかなり昇っていますが、敵機は まだ来ませんでした。それでも空母から 直掩機が盛んに飛び立っていました。  午前8時になっても、敵機は、来ません でした。昨日偵察機が来た以上、見逃される ことはありませんでした。そして、8時25分、 ついに敵機発見のラッパが鳴りました。  小淵氏は、素早く配置に着くと、訓練の時の ように落ち着いて手際よく行動しました。 「旗艦瑞鶴にZ旗があがる。」という伝令が 伝えられました。さらに、来襲敵機50機 という報告がありました。  方位盤は、目標をガッチリと捕捉しており、 測距儀から、次々と距離が通報されました。 同時に、大淀の速度の徐々に上がり、 30ノットの快速となりました。  艦隊は全力で北上し、敵機動部隊を 北へ北へとおびき出しはじめていました。 紹介書籍:“巡洋艦「大淀」16歳の海戦 少年水兵の太平洋戦争” 著者: 小淵 守男
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