SSブログ

巡洋艦大淀 発艦失敗 [巡洋艦大淀]

 攻撃機は、飛行甲板から離れる時に、 海面に落ち込むようになりながら、 飛び立っていきました。  爆弾や魚雷を装着すると重くなるので、 どうしてもそうなるようでした。小淵氏ら、 見ている方は、気が気ではありません でした。  そして、心配していたことが起こり ました。機体が海面スレスレになり、 尾部で波を叩いていましたが、翼を 波に引っ掛けて沈んでしまいました。  そこへ、母艦が波を立てて疾走して きました。その後から来る駆逐艦が、 搭乗員を救助していましたが、よほど 上手に脱出しないと、母艦のスクリューに 巻き込まれることになりそうでした。  飛行甲板の短い改造空母からの 発進は難しいのかと、感じていましたが、 なんと、正規空母の瑞鶴からも飛び 立てない航空機がありました。  発進した航空機は、編隊を組み、 飛び去っていきましたが、10機近く 飛びたてなかった事に落胆しました。  発進後、大淀艦内では、出撃して いった飛行兵についての話題で、 持ちきりとなりました。  「飛行機の搭乗員は、予備学生で、 いくらも訓練を受けていないのだそうだ。」 「大学ででも、訓練を受けていないのでは だめだよ。」「母艦がないから、訓練できんの だろう。」  「信濃くらいあれば大丈夫でしょう」 「信濃から飛び立てないようでは、 使いものにならないよ。「信濃ももう少し 早く出来上がっていたら、この作戦に 出たでしょうか。」「日本の宝物なんだ から、こんな作戦には出さないだろう。」  と勝手な憶測をして、熱を上げていました。 紹介書籍:“巡洋艦「大淀」16歳の海戦 少年水兵の太平洋戦争” 著者: 小淵 守男
nice!(0)  コメント(0) 

巡洋艦大淀 攻撃機発進 [巡洋艦大淀]

 小淵氏は、味方の艦を眺めている余裕は ないともい直し、敵機の発見に全力を尽くす ことにしました。  今日が決戦の日ということは、艦隊全員が 知っているので、その動作には、緊迫した ものが感じられました。  しかし、小淵氏が見張りに立って2時間の 当直が終わるまで、何事もありませんでした。 当直を交代してすぐに発令所に戻って みましたが、みな仮眠をとっていました。  戦闘のことなど誰も気にしていないよう でした。小淵氏も待機所にいき、仮眠を 取ろうと思いましたが、皆ぐっすり寝て いるのを見て、一人ぐらい起きて いなければならないと感じてしまい、 眠れませんでした。  そうこうしているうちに、「食卓番手を洗え」の 号令がかかりました。いつもよりずいぶん早い 昼食でした。  素早く食事の用意を整え、非番の人達から 先に食べて、当直を交代して全員が早目の 昼食を済ませました。予期した敵機は、一向に 来襲してくる気配はありませんでした。  その時、「正午を期して、攻撃機を発進する。」 という、艦内スピーカーからの通達がありました。 どうやら、敵機動部隊か、水上艦隊の所在を、 突き止めたようでした。  上甲板に上がると、空母4隻は、風上に 向かって全速で航行していました。その後尾に 1隻ずつ駆逐艦が随行し、側面を、大淀、 五十鈴、多摩が伴走していました。  やがて空母の甲板から、攻撃機が 発進し始めました。甲板上には、後続の 飛行機がずらりと待機していました。 濃い緑色の機体は、鮮やかに光り 輝いていました。 紹介書籍:“巡洋艦「大淀」16歳の海戦 少年水兵の太平洋戦争” 著者: 小淵 守男
nice!(0)  コメント(0) 

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。