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巡洋艦大淀 第6波来襲 [巡洋艦大淀]

 第6波の来襲は30機ほどであると 報告がありました。発令所は、手順通り 機器を動作させ、準備よしを砲術長に 報告しました。各配置の準備が整い、 主砲が咆哮するのみとなりました。  今回の来襲は、カビエンの戦闘の時より、 味方に損害が多いのが気がかりでした。 6度目の来襲は、大した機数ではなく、 激しいとも感じませんでした。  大淀は、快速で突っ走っており、 攻撃されにくいようでした。さらに、 正確な対空砲撃で近づけないのか、 至近弾もあまりありませんでした。  小淵氏も、6回も襲撃されたため、 至近弾では気にならなくなりました。 「大淀は、絶対沈みはしないぞ。」と 誰もが自信に満ちて戦っていました。  いまだに完全無傷であることからくる 自信でした。大淀は、いつまでだって 戦えると叫びたくなりましたが、そろそろ 対空砲弾が少なくなっていました。  第6波も30分ほどで終わりました。 上空は、いつしか雲量も増して、青空も ところどころしか見えなくなっていました。  青空から、突如敵機が降って湧いたように 出現し、またしても対空戦闘のラッパが 鳴り響きました。  第6波が去ってから10分と経っていない 時刻でした。雲が多く、遠距離での発見は できませんでした。電探は、正確な距離が 出ないので、機影を確認するまでは 信頼できませんでした。  この時、大淀の電探は、かなり遠距離の 雲の中の敵機を捕捉していました。しかし、 あまりにも遠距離なので、艦首脳部は かえって疑問に思えたようでした。 紹介書籍:“巡洋艦「大淀」16歳の海戦 少年水兵の太平洋戦争” 著者: 小淵 守男
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巡洋艦大淀 比叡での思い [巡洋艦大淀]

 小淵氏が、甲板の片付けに行こうしたところ、 あまりのその必要がないとなり、行かなくても 良くなりました。  甲板上に破壊されたものはなく、機銃や 高角砲も砲弾がなくなるのを心配して、 節約しながら撃っているということ でした。  小淵氏は、休息のために上甲板に上がり ました。上甲板の戦闘配置の人は、砲煙で どす黒くなったところに、太陽の直射を 受けるので、誰も彼も赤黒い異様な 人相になっていました。  小淵氏は、知り合いの単機銃手に、 「敵機を撃ち落としたか」と、声をかけ ました。  すると、「近づいてくる前に主砲や 高角砲が落としてしまう。少しこっち にも回してくれと砲術長に言って やってくれ。」と高笑いして いました。  この頃から、上空に雲が広がって きました。昨日ほどではないものの、 半分くらい青空が遮られていました。 それに炸裂した砲弾の煙がたなびいて いるので、薄暗い感じでした。  砲撃を止めてから30分近く立った頃、 第6波が来るだろうと考え、配置につき ました。いつもはにぎやかな発令所は、 第4波の来襲時に戦死者が出たことで、 シュンとしていました。  上曹と兵曹が話をしていました。聞くと、 以前乗っていた比叡で、トップ伝令が戦死し、 代わりを出したら、その伝令も死んでしまった ということでした。今回戦死した方位盤手も 一緒に比叡に乗っていた人だったということ でした。  小淵氏は、比叡が猛闘した時の話を固唾を 呑んで聞いていました。その時、敵機来襲 という報告がなされました。 紹介書籍:“巡洋艦「大淀」16歳の海戦 少年水兵の太平洋戦争” 著者: 小淵 守男
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