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巡洋艦大淀 第二波を切り抜ける [巡洋艦大淀]

 小淵氏は、今回の襲撃では、航空魚雷は あまり使用されておらず、爆弾も、至近弾では 被害が出ない60kgくらいの爆弾だと考えて いました。  しかし、魚雷は命中しない限り、小淵氏の いる発令所では、どこに投下されたのかは 分かりませんでした。  実際は、大淀の名航海長内田中佐の 操艦で、全弾回避しているから、小淵氏は 気づかなかったということです。  雷撃機については、接近しすぎたため、 魚雷が船底を通り抜けるという幸運も ありました。  この戦闘で、艦長は、防空指揮所に 陣取って艦全体の指揮をとっていました。 砲術長は、射撃指揮所で頑張っていました。  群がり襲う敵機は、砲煙をかいくぐり、 大淀に殺到して爆弾を投下しますが、 かわしていました。  敵機の爆弾は、左に交わす大淀に、 海水のみを浴びせるだけに終わって いました。  大淀の対空砲火は、持ち前の実力を 発揮して大活躍を見せていました。突入 してくる敵機には、主砲・高角砲・機銃が、 完全に捕捉し、撃墜していました。  第二波の襲撃は、かなり長いこと続きました。 「はやく小沢長官を迎えに行かなければ」と 思っていました。その時、機銃の発射音が 止まりました。続いて高角砲も咆哮をやめ、 主砲は、「目標替え」が命令されました。  新たな目標は、遠ざかる敵機でした。射撃盤の 上曹は、「休憩」と小さな声で言いました。すると、 「砲撃止め」の号令が届きました。みな、一斉に 顔をあげ、深呼吸しました。  第二波は、第一波より少し長く40分ほどでした。 これも無事に切り抜けられ、ガヤガヤと話し 始めました。 紹介書籍:“巡洋艦「大淀」16歳の海戦 少年水兵の太平洋戦争” 著者: 小淵 守男
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巡洋艦大淀 ちょうど地獄の1丁目 [巡洋艦大淀]

 再び、大淀艦内は、ものすごい轟音に 包まれました。それは、艦自体の雄叫びで あり、乗員全員の激烈な闘魂の昇華音 でした。  来襲した敵機も、今度は数が多いので、 かなり激しく襲いかかってきました。時折、 至近弾のため、1万tを超える大淀の 船体も上下に激しく震動しました。  そのたびに、外部の様子がわからない 発令所では、緊張することになりますが、 「いまのは至近弾」という説明が、 加えられました。  外部の様子がわからない発令所に気を 使って、砲術長が知らせてくれたり、トップ 伝令が自発的に教えてくれたりするので、 至近弾の振動にも慣れてしまった発令所 では、勘で判断できるようになっていました。  艦が傾いたりすると、「今のは右舷50mの 至近弾」と、眼の前で見ているようにい出す者が いました。すると、「ちょうど地獄の3丁目」と、 伝令の声色よろしく、兵曹が言うと、発令所に 爆笑がわきました。しかし、すぐに冷静に 各自の任務は続けられました。  この時、大淀は、今までになく激しい震動に 見舞われ、座っていた小淵氏も投げ出される ようによろめきました。艦は、急に傾き始め、 潮鳴りとスクリューの音響が不気味に 伝わってきました。  その時、「いまのは地獄の一丁目」と、例の 調子で兵曹がやったので、苦笑しながら座り 直すと、「今のは左舷20mの至近弾」という 伝令が伝えられました。  戦闘訓練では、このような冗談は許されず、 「真面目にやれ」と怒鳴られていました。 小淵氏は、大型爆弾でなくて、良かったと 思いました。大型爆弾なら、外装の薄い 大淀は、至近弾でも艦腹を破られて いました。 紹介書籍:“巡洋艦「大淀」16歳の海戦 少年水兵の太平洋戦争” 著者: 小淵 守男
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