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山口多聞 戦艦アリゾナ撃沈 [山口多聞]

 村田少佐に続き、雷撃隊が攻撃を開始
しました。

 雷撃隊の頭には、暗記してあった戦艦の
特徴をつかみ、最も攻撃しやすい角度を
把握して、突入して行きました。

 海面スレスレを這うように進み、魚雷を
発射し、旋回しながら急上昇しました。
戦艦や、巡洋艦の脇腹に命中した
魚雷は、鉄板を突き破り、内部を
えぐるように船体を破壊しました。

 魚雷の白い航跡が、真珠湾を縦横に
走りました。四隊の雷撃機による波状攻撃に
よって、戦艦ウエスト・ヴァージニアのすぐ後ろに
停泊していたアクラハマも魚雷を浴び、爆発、
炎上して転覆しました。

 真珠湾内のそちこちから、黒煙が上がり、
視界が煙で霞んできました。水平爆撃隊は、
一列になって、黒煙のあがる真珠湾の上空を
飛び、高度3000mから800キロ徹甲爆弾を
投下しました。

 戦艦群の間に落ちた爆弾は、数百mの
水柱をあげました。通常爆弾では、外側だけ
しか破壊できませんが、加速した800キロ
徹甲爆弾は、鉄板を突き破って、艦内で
爆発しました。

 命中すれば、分厚い装甲の戦艦も、ひと
たまりもありませんでした。戦艦アリゾナには、
この徹甲爆弾が、四発命中し、その内の一発が
火薬庫の誘爆を引き起こしました。

 凄まじい爆裂音をあげて、アリゾナが火柱を
吹き上げました。真珠湾全体が揺らぎ、あたりに
衝撃波が広がり、轟音がつんざきました。

 どす黒い火炎がもくもくと噴き上がり、黒煙は
1000m上空まで達しました。ずたずたに
裂かれた船体は猛火に包まれ、艦橋が
崩壊しました。

 アリゾナは、艦内にいた千人ほどの乗組員と
ともに、海底に沈没しました。


紹介書籍:山口多聞 空母「飛龍」と運命を共にした不屈の名指揮官
著者:松田 十刻(まつだ じゅっこく)
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山口多聞 村田少佐の雷撃成功 [山口多聞]

 本来なら、奇襲であれば、最初に雷撃隊が
先陣をきって急行し、湾内の戦艦等に魚雷を
浴びせることになっていましたが、単純な
手違いにより、急降下爆撃隊が、飛行場に
殺到し、爆弾の雨を降らせていました。

 爆撃隊に続いて、雷撃隊が降下し、日系人が
栽培しているサトウキビ畑スレスレに飛び、町の
屋根のすぐ上を飛び、黒煙があがっている
真珠湾へ突き進んでいきました。

 最大の獲物である空母の姿はありません
でした。真珠湾は狭くて浅い軍港なので、
海面から20m以内の高さから魚雷を発射
しなければなりませんでした。

 そのため、鹿児島で、血の滲むような
猛特訓をしてきました。雷撃隊は、村田
重治少佐の指揮のもと、南東の方角から
二列に係留している戦艦群に向かいました。

 村田少佐は、周囲から立ち上る爆撃隊の
攻撃による紅蓮の炎や黒煙を見て、先を
越されたと唇を噛みました。

 みるみるフォード島が迫ってきました。
ほぼ、前方中央に戦艦ウエスト・ヴァージニアが
係留されていました。

 村田少佐は、機首角度を零度にし、機体を
水平にすると、巨大な山となって聳える
ウエスト・ヴァージニア目掛けて、肉薄
しました。

 右手で操縦桿、左手で魚雷の発射レバーを
握り締め、「いまだ」と感じたところで、魚雷を
発射しました。

 間髪をいれずに操縦桿を引きました。戦艦マスト
すれすれを飛び越えて、上昇旋回すると、
ウエスト・ヴァージニアは轟音を立てて、
巨大な水柱をあげました。

 命中した手ごたえが、大気の振動で察せられ
ました。水柱の中には、黒煙も混じっていました。
火焔が盛り上がるように上空に湧き上がり、
対空砲火の曳航弾がしたから飛んできました。


紹介書籍:山口多聞 空母「飛龍」と運命を共にした不屈の名指揮官
著者:松田 十刻(まつだ じゅっこく)
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